うつけ者アイムソーリー

同じかるた会の先輩と同じ部活の仲間、どちらを応援するべきかジレンマに陥るべき場で、肉まん君はいつの間にか自然と前者を応援していた。

単純に付き合いの長さ、というかかるた会への帰属意識の強さもあるのだろうが、やはりかるたへの情熱を失っていたユーミンにかつての自分を重ね、感情移入してしまったのが大きかったのだと思う。


一度は頂点に立つも、あっさりと(若く美しい)天才に追い落とされてしまう。
前回の村尾さんがそうだったように、ユーミンもまた、天才にすり潰されかけていた人だった。

しかし今回、彼女は詩暢ちゃんと同じように若くてきれいで才能豊かな千早に当たることで、かつての情熱を取り戻す。
この意地こそが、彼女の最大の武器なのだろうな。

さて、モメユミと恐れられる彼女の｢どっちが取ったか怪しい時はかたくなに譲らない｣スタイルは、ルール上は問題ないもののあまり見栄えがよろしくない。もっと言えばやりすぎは見苦しくもある。

でもそれは、裏を返せば勝利への執念を意味する。千早なんかは彼女のプレイスタイルとは真逆で、以前相手が千早の取りと認めたにも関わらず相手が先立ったと札を譲ったことがあった。清廉潔白な彼女のプレイスタイルは、見ていて気持ちのいいものだが原田先生はそれに苦言を呈していた。

千早のそれは、本人の性格によるものだから多分今後も治らないと思うが、｢かるた楽しい｣が先行しているからその分勝つことへの意識が低いとも言える。

クイーン戦に繋がる今回の試合は、千早にとっても負けられない戦いになるはずだった。しかし、ユーミンは夢だけではない、自らの意地やかるた会の期待に応えるために、絶対にクイーンの前に立たなければいけないのだ。

千早が意識で勝っているつもりだったユーミンに気圧されたのは、何も実力差を感じ取ったからだけではない。何が何でも勝つというハングリーな精神、彼女が背負っているものの重さに、千早は畏怖を感じたのだ。

勝負の世界は甘くない。

自身の弱点を自覚し、確かな成長を遂げてきた千早にこの段階でこの洗礼。原作者容赦ねぇな(笑)
もちろんこれも一つの答えでしかない。重要なのは、そういったプレイスタイルもあると知った上で、どう自分自身の戦い方を確立するかなのだろう。

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