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偽物語

偽物語 最終話 「つきひフェニックス 其ノ肆」 感想

プラチナ面白かった! あれ? これじゃあんま褒めてないみたいだな(笑) 字面は豪華なのに。

さて、やはり生まれつきで自覚なしの怪異そのものだった月火。
そんな彼女に対して阿良々木が出した答は、ですよねーというか、それしかない、というものだった。

問題は、正義を執行しようとする影縫をどう退かせるか、という一点に収束されたわけだ。
やはりというかなんというか、バトルシーンってこの作品においてオマケでしかないよね。結局は舌戦でどうにかするしかないんだし。なんでこの作品のバトルにやたら期待してる人が多いんだろう。後々のシリーズにバトルメインのがあるのかな?

影縫が思ったよりもずっと一本筋が通っててカッコいいキャラ造形だったなぁ。
阿良々木が月火を怪異と知った上でなお、妹として守り通すことを一つの信念として認める。ここまではいい。
しかし、本来月火をどう扱うかの結論は彼一人の問題ではないはずだと影縫は指摘する。

要約すると、お前の勝手なイメージを押し付けるな! ですね、分かります。

対する阿良々木は、家族だから迷惑かけても、押し付けてもいいのだ、と反駁する。

ふむ、一見影縫の方が筋が通っていて、正論に見えるこの対立。
だが、ある観点からすると阿良々木にも正当性があるように思える。

怪異だから悪、阿良々木以外の家族は月火の存在を容認できないかもしれない。
そう、あくまで「かもしれない」である。そこに確信はなく、結局は彼女のそれも「正論」の押し付けではないのだろうか。

一方の阿良々木は、少なくとも火憐に関しては彼女が月火の正体を知っても妹として扱い続けるだろうことを核心している。それが彼の主観でしかないとしても、だ。
月火自身に関しても、決戦前に彼女の部屋を訪ね、「お前は生まれた時から僕と火憐の妹だった」と声をかけることで、予防的に彼女の不安を相殺している。
両親については語りようがないから置いとくとして、少なくとも彼の中では月火が怪異だろうが彼の家族は月火を受け入れるのだ。


影縫の言う通り、これは阿良々木家全体の問題である。しかしだからこそ、家族の事を、少なくとも影縫よりはよく知っている阿良々木の言葉に一定の説得力が宿るのだ。

「家族を知らない他人の客観的な正義」と、「家族を知る者の主観的な偽善」、どちらもそれなりに正当性があり、また弱みもある。

一見影縫に利がありそうな論戦だが、実はわりと拮抗した議論だったんじゃないかな。

影縫が退いた理由は、阿良々木の言葉に忍野や貝木のイマジナリーを思いだし、自分の理屈がそれほど絶対的ではないことに気付いたからではないかな。彼らとの論戦に決着が付いていないのなら、ここで一方的に阿良々木を否定するのは反則行為になるわけだ。
押し付けがましい正義を掲げる影縫だが、ちゃんと義理のなんたるかも分かってる。いいキャラだった。
今後旧知の三人が一堂に会する機会があるのなら是非見てみたいな。


・シリーズ総評のようなもの


ぶっちゃけこのシリーズの味であるキャラとの掛け合いメインの回は何を感想に書けばいいのか分からずかなり困っていたのだけど(苦笑)、さすがに物語のテーマの根幹に関わるエピソードは非常に興味深く、面白かった。

「偽物」の話は、結局は個々の相対的な価値観の話にシフトし、そこで問われるのは信念の強さである。
この考え方は個人的にぼんやり考えてたこととマッチしていて、自分の中でわりと輪郭がくっきりしてきたという印象。

なにが本物で、なにが偽物か、そもそもそんな問い自体がナンセンスなのかもしれない。
人それぞれはあくまで前提で、その上で意見を交わし、妥協点を探っていくことが必要になるのだろう。
まとめおわり。

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