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漫画

銀の匙 4巻 感想

豚丼は皆の腹の中で永遠に生き続ける。


この一連の豚丼問題は間違いなくこの作品の一つのハイライトだ。
八軒は名前を付けて可愛がっていた「豚丼」を精肉として購入し、食糧として食べ尽くす選択をした。
この行動自体はなんら答を導くことはなく、八軒の悩みの根本的な解決には繋がらない。

命の大切さを理解しながら、食べるために生き物を殺す。
そこには明らかな二律背反があり、だからこそ大抵の人は「割り切って」――言い方を変えれば思考を停めてその営みを受け入れる。

しかし八軒は、前の感想でも確か書いたが真面目すぎるがゆえに誰もがスルーしている「当たり前」を看過できない。
豚丼がかわいいのも本当で、でもそこには豚丼が食肉になるしかない運命が現実として存在し、そして何よりも食べると「美味しい」。

人間が動物を食べる理由は結局はエゴだ。
だがそのエゴを享受するために、理由を必要とする人もいる。それは言ってしまえば自己満足でしかないのかもしれない。
でも、建前と欲望が入り乱れている様は社会のどこにでも見られるものであり、そこで私たちは「割り切る」ことを求められるかもしれない。
そんな時、仕方の無いことだからと考えることを止めるのか、自分の納得を探してもがき続けるのか。後者の生き方は決して楽なものではないのだけれど、より人間らしく――実のある人生が送れるような気がしてくるから不思議である。

正解のない問いに悩まされ続けた八軒が数学の美しさに気付くシーンを挟むあたり卒がないと思う。どんな数式にも必ず解法があり、理論的に答を導き出すことができる。そこには人間社会のようなしがらみや歪みはない、真に純粋な知の世界だ。
それでも、やはり私たちが生きるのは「理不尽」が蔓延る社会であり、そこに向き合う術を養うことは無駄ではないのだと思う。

成績や学歴こそが社会と戦うための武器なのだと考える八軒の父親に、手探りながらも自分が試行錯誤して得たものを送りつけるのは確かに「本気を見せてやる」ということになるのだろう。それがあの父親にどういう形で伝わっているのかが分からないのがなんとも怖い(笑)

八軒の必ずしも理性的とは言い難い行動に、今までのライフワークとしてなんとなく「割り切って」家畜たちと接してきた農家の少年少女たちにも変化が訪れる。今まで見過ごしてきたものに、ちゃんと向き合ってみたいという彼らの心の変化が自然に描けていてやっぱり上手いなーと思う。脇キャラの書き方も、特に個々人にクローズアップしたエピソードを作るでもなく、ただ主人公の日常に当たり前に存在していることを描写することによって知らずのうちにキャラが立っていて、名前を覚えたりしている。一つ一つのエピソードを学園生活として描けている証拠である。

物語は夏から秋へ。
秋編はまだ導入だけど、馬術部の描写が増えていることと、駒場と御影の「関係ない話」からおそらく人間関係にクローズアップしたエピソードになるのだろう。
副部長という責任ある立場に置かれた八軒が、あるいは家畜問題以上に複雑怪奇な人間心理の迷宮に振り回される様が見られるんじゃないかな。


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