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氷菓

氷菓 15話 「十文字事件」 感想

才能の有無と適材適所。

このカンヤ祭編、すごく面白いんだけど今までの「氷菓」とはちょっとテイストが違った作りになってたと思います。
しかし、今回はすっごくしばらくぶりに古典部4人で事件の推理をする展開が挟まれて、いつもの「氷菓」が帰ってきた!、と妙なところでテンションが上がってました。

ミステリーというジャンルでありながら、謎そのものよりも謎に相対する登場人物たちの感情の揺れ動く様をメインに描いてきたこの作品。今回は特にその点がクローズアップされているように見えて、非常に俺得な回でした。

カンヤ祭編では奉太郎はあくまで部室から動かない、傍観者的な立ち位置に終始していて物語を動かしているのは他の三人になっている。
今回は里志が明確に奉太郎に対する羨望、あるいは対抗心を見せてきましたね。
古典部の利益を考えるなら「十文字」は泳がせていく方が都合がいい。後に工作部の存在が明らかになりましたが、里志があえて犯人を捕まえようと思った理由は別でしょう。奉太郎よりも早く、犯人を捕まえて自分の力を証明したい。
彼は当初から「データベースには答は出せない」と嘯いていましたが、その裏で奉太郎のように真実を暴いてみたいという気持ちがあるんでしょうね。
しかし彼の意気込みは空回りし、推理の明らかな穴をあっさり奉太郎に指摘される。結局は向いていない、入須先輩の言葉を借りれば「才能がない」んでしょうね。


余談だけど手品を楽しみにしてる入須先輩が超可愛かった。前回もそうだったけど、ああいうキャラが普通の女の子らしい面を見せるとすごくグッと来ますね。


ええと、何の話だっけ? ああ里志か。
彼に推理が向いていないというのは、才能がないということにもなるんだけど、見方を変えると他の面では奉太郎に優る才能があるということ。たとえば前のクイズ大会のように、彼には彼なりの活躍の場がちゃんとあるんですね。要は適材適所。
ただ、彼の不幸は「やりたいこと」と「能力」がおそらくは一致していないこと。自分には他にやりたいことがあるのに、その方面への才能がないことをおそらく誰よりも理解しているのは里志自身だ。そして近くに自分の欲しい物を持った人間がいる時、その絶望は嫉妬になる。
里志は実は今大きな壁にぶち当たってもがいている時なのかもしれませんね。これが彼の「氷菓」である、と。

適材適所の話で言えば、えるの交渉シーンもそれに当てはまると思います。
前回入須先輩からレクチャーされた交渉術をタバコ先輩に使おうとするが、結局全然使いこなせず情報を与えるだけに終わってしまった。壁新聞に古典部の名前がありましたが、別に義理立てしたわけではないでしょうし。
えるは天然で人にモノを頼むのが上手い人間だと思っていたけど、よくよく考えるとそれが成功しているのは彼女の好奇心が発揮している時だけなんですよね。だから、始めから利益目的で交渉に臨んでも全然力を発揮できない。この役割もまた、彼女に向いていないのです。
おそらくえる自身もぼんやりと違和感を感じているから、うかない顔をしているんだと思います。里志との違いは自覚の有無かな。

そう考えると奉太郎の今のポジションは本人の資質、性質的にもまさに適材適所ですね。前エピソードではボロクソにされる立場だった彼が、今回は余裕を持って他のメンバーが右往左往する様を見ているという構図が面白いです。

そして完全にこのエピソードのヒロインと化している摩耶花は今回も可愛いですね。
前回の助力に彼女だけ礼を言わなかったのでモヤモヤして見てたんですが、二人きりの時にちゃんと言ってくれたので安心しました。この二人の距離感は嫌いじゃない。

摩耶花は相変わらず漫研で問題を抱えていて、仲間に頼ることを「泣き付く」と解釈しちゃうあたり難儀な正確だなーと思います。まあ相手が里志だからかもしれませんが。
キング先輩はだんだん良い人っぽい描かれ方になってますね。手品の時の会話といい、「夕べには躯に」の作者の一人と友達だったことといい、だんだん彼女の考えが見えてきたような気がします。
あの摩耶花との舌戦は、多分半分は客寄せのためのポーズでしょうが、彼女の語った理論自体はおそらく本音でわりと本気で意見をぶつけていたと思います。しかし、摩耶花を本気で嫌っているわけでも、「夕べには躯に」をバカにしているわけでもない。前回の描写から少なくともイラストの技術は確からしいですし、彼女には彼女なりの拘りがあるのでしょう。

摩耶花はボカロ集団から疎まれ、漫研内で微妙な立場に立たされている。部長さんがフォローに行ったけど、正直客寄せに利用しといて何を今更と思わないでもない(笑)
先輩に物怖じせずに意見を言える人間として、あのポジションは彼女の資質に合った適材適所なんだろうけど、今の所は居心地の良い空間ではないみたいですね。
彼女の立場がどう落ち着き、キング先輩との確執がどう決着するのか、十文字事件よりもよっぼと気になります!



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