輪るピングドラム
輪るピングドラム 22話 「美しい棺」 感想
残酷な世界の呪いにすり潰されていく若者たちの未来。
大人である多蕗とゆりさんは一足先に答えを得た。ともすればあっさりにも見えるが、ゆりさんが本当は多蕗を求めていたことはこれまでの描写から分かるので、後は多蕗が気付くだけだったのだ。
多蕗が気付いたのは、決して桃果じゃなければダメということではないこと。自分を愛してると、必要としてくれる人がいればそれでいいのだと、復讐心によって見失っていたものがようやく見えるようになった。この二人の結末はこれでいいと思う。
そんな彼の語りをバックに日記の半分を手にして進む苹果。彼女の決意がどんなものなのか、本当に運命を乗り換える選択をするのか、とにかくこれからは「呪われた子供たち」のターンというわけだ。
陽鞠はどれだけ説得をしても冠葉を止められない。冠葉が無理をしているのはグラビアから必死に目をそむける1号の様子からも明らかだが、冠葉にとって陽鞠が死ぬという結末などもう絶対に認められない。一話では諦めるそぶりもあったのに、こうなってしまったのは一度プリクリによって蘇ったから。それで彼は死を覆せるのだと信じてしまった。それができると分かった以上、彼は陽鞠を救うまで絶対に止まらない。
陽鞠は冠葉を救う為に神様に命を返す。始まりの場所である水族館に戻ったのは、最初からやり直すということ? しかし、彼女が見た宇宙空間のようなものはクリスタルワールドの導入部みたいだ。もしかしたら今回彼女がたどり着いたのが運命の至る場所なのかもしれない。「わらわはお前達の運命の至る場所から来た」「その答えはきっと、運命の至る場所にある」。プリクリと眞悧が言うその場所にたどり着いたのなら、陽鞠の本当の役割はここから始まるのかもしれない。
この作品における呪いとは夏芽家や高倉家、さらには企鵝によるものとして描かれているが、これが表してるのは世界の、現代社会そのものの呪いかもしれない。
「夢は叶う」「努力は実る」「無限の可能性」。こんな甘言が社会には溢れている。全くの嘘っぱちではないのがたちが悪い。本当の社会は辛く厳しく、時に残酷だ。その事をひた隠し、耳障りのいい言葉だけで子供たちに語りかけ、未来が希望に溢れているかのように見せる。しかし、本当に夢をつかむ者は一握りで、ほとんどは「きっと何者にもなれない」。
大人たちに騙され、夢や希望を打ち砕かれ食い物にされる子供たち。家庭環境の問題も現代教育の問題も、右にならえの文化も全部含めて、「呪い」なんじゃないかと考えた。
眞悧は呪いそのもの。希望をちらつかせて冠葉を利用する。彼が率いる企鵝もそう。その思想は正しいし理想でもある。しかしやってることはテロで多くの人々を犠牲にしている。思想は美しくても待っているのは破滅だけ。それが真砂子の言う「美しい棺」なんだろう。
冠葉はその呪いを一手に引き受けた。彼が企鵝に居続けるのはもちろん陽鞠のためだけど、晶馬や真砂子達を企鵝から遠ざけるために自分が犠牲になっている節がある。これがあるから冠葉のやっていることを否定しきれない。真砂子を銃撃から庇うシーンから、彼が真砂子をもしっかりと大切に思っていることが分かった。彼女を突き放しているのは巻き込まないためなのか、それともあの時とっさに身体が動いてしまったのかは分からないが、彼の中にはまだ本当の妹への愛もしっかり残っていた。
それが分かったから真砂子は立ち上がる。「もういちど」を言葉ではなく行動でもらったから。だから彼と共に呪われる決意をした。気高く美しい彼女の雄姿は悲壮感やら感動やらが相まって涙が止まらなかった。冠葉の愛こそ彼女が欲しかったものに違いないが、これで彼女が救われたとは思いたくないな。彼女には絶対に幸せになって欲しい。だって好きだから。
大人である多蕗とゆりさんは一足先に答えを得た。ともすればあっさりにも見えるが、ゆりさんが本当は多蕗を求めていたことはこれまでの描写から分かるので、後は多蕗が気付くだけだったのだ。
多蕗が気付いたのは、決して桃果じゃなければダメということではないこと。自分を愛してると、必要としてくれる人がいればそれでいいのだと、復讐心によって見失っていたものがようやく見えるようになった。この二人の結末はこれでいいと思う。
そんな彼の語りをバックに日記の半分を手にして進む苹果。彼女の決意がどんなものなのか、本当に運命を乗り換える選択をするのか、とにかくこれからは「呪われた子供たち」のターンというわけだ。
陽鞠はどれだけ説得をしても冠葉を止められない。冠葉が無理をしているのはグラビアから必死に目をそむける1号の様子からも明らかだが、冠葉にとって陽鞠が死ぬという結末などもう絶対に認められない。一話では諦めるそぶりもあったのに、こうなってしまったのは一度プリクリによって蘇ったから。それで彼は死を覆せるのだと信じてしまった。それができると分かった以上、彼は陽鞠を救うまで絶対に止まらない。
陽鞠は冠葉を救う為に神様に命を返す。始まりの場所である水族館に戻ったのは、最初からやり直すということ? しかし、彼女が見た宇宙空間のようなものはクリスタルワールドの導入部みたいだ。もしかしたら今回彼女がたどり着いたのが運命の至る場所なのかもしれない。「わらわはお前達の運命の至る場所から来た」「その答えはきっと、運命の至る場所にある」。プリクリと眞悧が言うその場所にたどり着いたのなら、陽鞠の本当の役割はここから始まるのかもしれない。
この作品における呪いとは夏芽家や高倉家、さらには企鵝によるものとして描かれているが、これが表してるのは世界の、現代社会そのものの呪いかもしれない。
「夢は叶う」「努力は実る」「無限の可能性」。こんな甘言が社会には溢れている。全くの嘘っぱちではないのがたちが悪い。本当の社会は辛く厳しく、時に残酷だ。その事をひた隠し、耳障りのいい言葉だけで子供たちに語りかけ、未来が希望に溢れているかのように見せる。しかし、本当に夢をつかむ者は一握りで、ほとんどは「きっと何者にもなれない」。
大人たちに騙され、夢や希望を打ち砕かれ食い物にされる子供たち。家庭環境の問題も現代教育の問題も、右にならえの文化も全部含めて、「呪い」なんじゃないかと考えた。
眞悧は呪いそのもの。希望をちらつかせて冠葉を利用する。彼が率いる企鵝もそう。その思想は正しいし理想でもある。しかしやってることはテロで多くの人々を犠牲にしている。思想は美しくても待っているのは破滅だけ。それが真砂子の言う「美しい棺」なんだろう。
冠葉はその呪いを一手に引き受けた。彼が企鵝に居続けるのはもちろん陽鞠のためだけど、晶馬や真砂子達を企鵝から遠ざけるために自分が犠牲になっている節がある。これがあるから冠葉のやっていることを否定しきれない。真砂子を銃撃から庇うシーンから、彼が真砂子をもしっかりと大切に思っていることが分かった。彼女を突き放しているのは巻き込まないためなのか、それともあの時とっさに身体が動いてしまったのかは分からないが、彼の中にはまだ本当の妹への愛もしっかり残っていた。
それが分かったから真砂子は立ち上がる。「もういちど」を言葉ではなく行動でもらったから。だから彼と共に呪われる決意をした。気高く美しい彼女の雄姿は悲壮感やら感動やらが相まって涙が止まらなかった。冠葉の愛こそ彼女が欲しかったものに違いないが、これで彼女が救われたとは思いたくないな。彼女には絶対に幸せになって欲しい。だって好きだから。
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変装して高倉家へやってきたのはダブルHの二人
ブザーを押しても誰も出てこないから手紙でも残していこうか相談していると
いかにも怪しい格好だから不審者かと思って通りがかった
輪るピングドラム 22話
もう、引き返せない…?
というわけで、
「輪るピングドラム」22話
無限抱擁の巻。
兄貴、腹括りすぎ。覚悟完了しすぎ。
なんか、夜神月とか、ルル山とダブって見えた。
目的
【輪るピングドラム】22話 もうBAD ENDの予感しかしない・・・
輪るピングドラム
#22 美しい棺
405 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2011/12/10(土) 02:37:40.50 ID:NNjuT25z0
もう何がなんだか…わからない…
407 名前:風の谷
輪るピングドラム第22話感想
記事はこちら(TBもこちらへ)
元記事はhttp://sigerublog.txt-nifty.com/utakata/2011/12/post-8664.html
『輪るピングドラム』#22「美しい棺」
「ダメ!お兄様、真砂子を放さないで!!」
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が、陽毬はあいにくの留守。
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