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輪るピングドラム

「世界蛇」と「呪いのメタファー」

「輪るピングドラム」の渡瀬眞悧と「ヨルムンガンド」のココ・へクマティアルの比較ネタ。


 以前の記事でもちょっと触れたけど、思いのほか拡げられそうに感じたのでつらつらと考えてみました。
 新年最初の記事がこんな誰得記事でいいのか(笑)


 まずこの二人の最大の共通点として世界を嫌っている点が挙げられます。
眞悧「ある朝、気が付いたんだ。僕はこの世界が嫌いなんだって」
ココ「私は世界が大嫌いだよ、ヨナ」

 そして彼らはそれぞれ世界に対して行動を起します。その際の目的設定が二人の最大の相違点。
眞悧「だからさ、壊すしかないんだ。箱を。人を。世界を!」
ココ「世界はラッキーだよ! これだけ世界を嫌いな私が、世界の破壊ではなく、世界の修繕を望んだことがね!」

 眞悧は世界の破壊を、ココは世界の修繕を望み、それぞれ己の理念に従って計画を打ち立てました。
 面白いのは、二人の目的は真逆なのにその手段に「大量虐殺」が用いられているという点で共通していることです。この辺「虐殺器官」の虐殺文法とかと絡められると面白くなりそうなんだけど、まだあまり理解できてないんだよなー。

 眞悧は地下鉄の爆破テロ、ココは量子コンピューターによる空の封鎖ですね。それぞれ犠牲になるのは本来なら何の罪もないと言える善良な「一般市民」です。破壊そのものが目的の眞悧はともかく、ココは「世界平和」を謳っての行動なのでこの点で犠牲を抑える努力をしないのはなぜか、と各所で疑問の声が上がっていました。
 それは彼らが持つ憎しみというものが、そういった「一般市民」を含めた社会を構成する全ての人たちに向けられているからなんですね。あちこちで戦争が起きたり、社会からはじき出されて透明な存在になる人たちが出たり、皆その問題に気付いているにも関わらず見て見ぬふりをするかのように誰一人それをどうにかしようとしない。世界の、社会の体質として受け入れてしまっている。だから、彼らもまた二人が憎む世界の一部なのだ。特定の誰かではなく、不特定多数の人間に向けられた憎しみ。だからこそ、彼らの「手段」が善良な市民に向かって振るわれるのはむしろ当然のことなのではないでしょうか?
 犠牲を通じてメッセージを伝えるのは、まさにテロのやり口ですね。

 この辺が、彼らとFate/Zeroの切嗣との違いだと思います。
 当初は同じ「世界平和」を志す者としてココと切嗣の比較を考えていたんですけど、どうも私の覚えてる限りでは切嗣からは世界への憎しみが感じられなかった。彼の原動力で最もクローズアップされているのは、幼い頃に交わした「約束」「夢」であり、世界に対する個人的な感情は見られなかったと思います。そもそも切嗣は私情と目的を切り離して動くキャラクターとして描かれていましたからね。

 二人の目的が違う理由は、結局は人を信じているか否か、にあるのでしょう。
 ココが「ヨルムンガンド計画」の根幹として掲げる「恥の世紀」の理論が、結局は人間の良識を問うものである辺りに、彼女が心の奥底では人間を信じたいという気持ちがあることが窺えます。今の世界の人間達に絶望して、それでも世界を好きになりたいから彼女なりに妥協をした結果、人間の恥を信じることにしたのではないでしょうか。ヨルムンガンド計画は、世界の人々への警句・挑戦状といった意味合いが強いと思いますね。
 一方の眞悧は人間への期待を完全に捨てています。人と人は永久に繋がることはできない。自らを閉じ込める箱の中で、一生孤独に生きるしかない。ココが戦場を通して「武器」と「世界」を憎むことになった過程が描かれているのに対して、眞悧の動機はかなり抽象的なので想像で補うしかありませんが、多分彼は人間社会の在り方と、そこから見える人間の本質そのものに絶望しているのだと思います。本質は変えようがないから、そこに希望を見出すことはできないと。
 でも、何者にもなれずとも「家族」を救った高倉兄妹を見てそれが一面的な見方でしかないことも彼には分かっているはずなんですよね。だからこそ、彼らの運命を見届けようとか言ってたわけですし。
 ただ、それでも社会の構造的な欠陥というのは厳然として存在するから高倉兄妹の一例を見ても彼は信念を曲げなかったんですね。実際に彼らは「氷の世界」で生きる自分たちを救っただけで、「氷の世界」そのものをどうにかしたわけではないですから。それを受けて、眞悧は最後まで「君たちは絶対に幸せになんかなれない!」と呪詛を吐き続けたのでしょう。世界の「残酷さ」「理不尽さ」を受け入れられないから、それを壊すまで呪い続けるしかない。


 もう一つ、二人に共通しているのは彼らが自身の「同類」の存在を見出していることです。
 眞悧は自分と同じ景色を見ている人物として「桃果」に、ココは自分と同じく何よりも憎む武器を手放せない宿命を背負った少年兵「ヨナ」に、それぞれ強い共感を示していました。そしてどちらも、少なくとも一度は自分と同じだと感じた彼らに拒絶されているのです。
 確かに桃果とヨナは根源的な部分で彼らと似ている部分がありますが、そのスタンスが彼らと真逆になっています。桃果もヨナも、世界の残酷さを目の当たりにしながら、それでも世界を好きだと言っているんですね。
 しかし、最終的にそれぞれのペアが辿る運命は逆になっています。眞悧と桃果は決別したまま終わり、ココとヨナは共に歩むことを決意して幕を閉じる。この差の理由はそのまま眞悧とココの目的の違いにありますね。
 ココが「世界を好きになりたい」と望んでいることをヨナは信じているからこそ、そこに共感の余地があるのですね。ラテラリティの歌詞から引用すると、「同じ二人になりたい」といった所でしょうか。仮にココが世界を好きになることができれば、二人を隔てる最大の壁が取り去られることになります。その可能性に希望を見出したのが、ココとヨナの関係の終着点ですね。
 一方の眞悧と桃果は、お互いの主張が真っ向から対立していて相容れない平行線の関係ですから、ヨルムンの二人のような帰結にはならないわけです。
 ただ、絶対に分かり合えないということはなく、小説版では最後の場面で桃果が「一緒に行きたいなら連れて行ってあげる」と誘いかけているシーンが挟まれました。しかしその誘いを眞悧は迷わずに跳ね除けます。彼は桃果を心の奥では望みながらも、自分の信念を曲げることはできなかったのではないでしょうか。やっぱりコイツは潔癖過ぎるよ……。
 まあこの二人は、一個人としての側面と同時にそれぞれ世界の「呪い」「祝い」のメタファーとしての役割も持っているから、わざと相対関係を崩すようなことはしなかったんじゃないですかね。それでも救済の可能性を窺わせた小説版のワンシーンは意味あるものだったと思いますが。
 眞悧が自らを「呪いのメタファー」と称することで、そうあろうとする個人、という視点も考えられるのが面白い所ですね。


 さらにもう一点、比較したいのが彼らが憎むべき「世界」の象徴として見出したものの違いですね。
 眞悧が地下鉄という狭い場所を選んだのは、そこが彼の言う「箱」の象徴だからです。物理的には密着するほど近くにいるのに、心理的には如何ともしがたい断絶がある。人と人は箱で隔たれているから繋がれないという彼の言葉を象徴する物体が地下鉄という場所で、それを破壊することが彼にとって最大の世界への復讐だったわけです。
 そして、「地下」に対して「空」を攻撃対象に選んだのがココですね。「空」を選んだのは、彼女が憎む近代兵器のほとんどが空を利用したものである、というのが一つ。それに加えて私は、彼女が世界に対してメッセージを発信する際に最も効果的に全世界の人間に共通して「恥」を抱かせることができるガジェットとして見出したのが「空」だったのではないかと考えます。
 J-POPの歌詞でよく「同じ空の下で繋がってる」みたいなフレーズが出てきますが、つまり世界中の人間が共有している「空」だからこそ、彼女の「恥を知れ」というメッセージがより重く圧し掛かるのではないかなと。この点でも、人との繋がりを信じない眞悧と人の繋がりを信じるココ、という比較ができますね。

 こうして書いてみると、結構似てると思いません? 
様々な視点からの比較はできたと思うんだけど、無駄に長い割りに掘り下げが足りない感が拭えません。まあいつもの事ですが。
 せめて文章力がもうちょっと付けばいいんだけどなー。

 というわけで、本当に比較してみました、というだけでこの記事は終わります(笑)
 

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Comment

No title

すごい納得した

Re: No title

> 外郎売りさん

今更でスイマセン。コメントありがとうございます。参考になったようで幸いです。
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アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


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