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漫画

バーサス・アンダースロー総集編 感想

 「GUNSLINGAER GIRL」の作者である相田裕さんの同人漫画。なんとこの作品、同人誌にも関わらず文化庁メディア芸術祭で審査委員会推薦作品に選ばれています(笑) 
やるなぁ、文化庁。


 メロンブックスの通販で購入しました。送料込みで1800円と割高だけど同人誌ならこんなもんか。アイマス本も欲しかったけど残念ながら売り切れ。

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 重くシリアスなガンスリとは打って変わって、爽やかな口当たりの青春ドラマになってます。商業誌でやっても全然問題ないくらいに素晴らしい出来。

 メインキャラたちはスポーツをやっていたけれど、ケガや挫折などを理由にドロップアウトしたという過去を持っている。そんな人たちを受け入れる場所としての生徒会を作っているのが「会長」。有望な野球選手だったが、肩を壊して辞めざるを得なかった烏谷は会長に誘われ、自分なりに過去に清算を付けていく。

 テーマを大雑把に言えば、「どんな事にも全力を傾ける価値はある」でしょうか。
 それこそ彼らはかつて全国大会とか、健全なスポーツ青少年として目指すべき大きな目標があって活動していたのだけれど、それだけが全てなわけじゃない。
 作中で生徒会が目指すイベントとして校内の部対抗リレーがあるが、これは単なる学内の一イベントでしかない。フィクションのイベントとしてははっきり言って地味だし、そこに全国大会や甲子園並の価値を置く人はいないだろう。しかしそこに全力でコミットする彼らは、間違いなく青春を謳歌していた。

 なんというか、それこそ「スター級」の人なんてほんの一握りなわけで、ほとんどの人は大舞台とは縁のないまま青春を終えるんですよね。でも、だから凡人の青春には大した価値がないかと言えばそうではないわけで、直接将来に繋がるわけじゃないけど全力を掛けてやったことは必ずその人の財産になるはず。この辺はTARITARIも近い文脈でやってたと思うんだけど。

 この作品で、まず会長が烏谷に「引導を渡す」と言って野球勝負で彼を負かすのは、彼女がドロップアウトするきっかけとなった彼に対するささやかな復讐でもあるんだろうけど、やはり自分で言ったように一度野球への未練を断ち切る必要があると考えたんでしょうね。しかしその後会長がまた野球をやりたくなったとか言い出すのには笑ったなぁ。丁寧にロジックを重ねておいて、あっさりとそれを飛び越える描写ができる辺りはさすがです。
 未練とか後悔とか、そういったものも決して否定はしていないんですよね。烏谷はリレーを経て徐々に野球以外の事柄に情熱を向ける楽しみを知っていくわけだけれど、それでも「野球ができないこと」の痛みはずっと抱えている。ただ、それに引き摺られずに自分の新しい居場所、新しい楽しみを見つけていく物語が素敵です。

 特に好きなシーンが二つ。
 一つは烏谷が気になる女の子、丸ちゃんが三春先輩に彼のどこがいいのかと尋ねられるシーンです。丸ちゃんは中学時代の烏谷を見て、必死な姿が格好良かったと答えるんですけど、先輩に今は野球やってないじゃんと突っ込まれます。すると丸ちゃんは「今は生徒会でがんばってますよ」と答えるんです。
 烏谷は中学の頃は超有望な野球選手で、それこそ「スター」に当たるような特別な人間でした。でも丸ちゃんは、当時のスター選手だった彼とは比べ物にならないくらい地味な仕事をやってる生徒会での彼を、同じように輝いてる(意訳)って言ってるんですよね。もうなんかグッときましたよここ。コミットする対象ではなく、ただ頑張っていることを肯定してくれる女の子とか最高じゃないですか。丸ちゃん可愛いなぁ。

 もう一つが2年生の三春と東が帰りの電車で会話するシーン。
 説明するのめんどくさいから省くけど(笑)、三春の「一人で冒険するのは不安だった」というセリフがよかったなぁ。
 進学組の彼らにとって、時間を著しく浪費する生徒会活動はまさに「冒険」なんですよね。それでも三春が生徒会に入ったのは、会長が言うように毎日勉強だけの高校生活ってどうなの?という思いがどこかであったから。
 でも、それこそ自分の生活リズムを変えてしまうような決断というのは勇気がいるんですよね。そこで彼女は同じ進学クラスの東に声をかけた。旅は道連れ。一緒の「誰か」がいると、それだけで不安というのは薄れるものなんだ。

 生徒会では自分のキャラには合わないことをやらされたり、成績が下がったりで犠牲になるものは確かにあるんだけれど、代わりに彼らは青春の楽しみを知ることができた。ちょっと後悔はあるけれど、ちゃんと楽しんでいるという東の言葉を聞いて安心する三春。この二人の距離感もいい感じです。

 派手な展開はなくとも、そこには確かにドラマがあって胸を打つ。
 大げさじゃない、等身大の青春を描いた物語に作者の力量の高さをあらためて感じました。


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アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


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