アニメを中心に、漫画や映画、小説など創作物の感想を載せるブログです。

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

漫画

空が灰色だから 感想

 それはきっと、どこにでもあるありふれた日常で。

 全5巻で完結のオムニバスストーリー。
 ポップな絵柄で紡がれるのは、少し人との距離が分からず、上手く世界に溶け込めないどこにでもいる「ダメな人たち」の物語。
 その切り口は自由闊達。毎回変わる主人公たちを中心に、彼らの一言では言い表せない感情の一瞬を切り取り、ジャンルの枠を飛び越えて提示してみせる。
 それは心温まるような友情物語や、人の暗部を抉り出したようなサイコホラー、果ては少年少女が冷たい現実に容赦なくすり潰される心に突き刺さる短編まで実に千差万別。どう転ぶか分からない話の結末が読む手を進め、無防備になったこちらの感情を揺さぶってくる。
 そんな中で時折挟まれる天才・凡人・ネガティバーで構成された3人娘のユルいやり取りが一種の清涼剤として機能していたように思う。璃湖奈ちゃんは私にとって癒しでした。彼女、なんだかんだで「甘い」人生を送っていけるんじゃないかな。

 漫喫で時間に追われながらだったので、じっくり読めなかったのが残念なほど良く出来た短編集でした。バラエティ豊かで飽きさせない、単純なエンタメではなく少なからず読む側も心を削られるような文学的な味わいがありました。もちろん質は違うけど、サリンジャーとかカポーティの短編集に近い感覚があったなぁ。これを少年誌でやっていたとは信じられない。
 絵も単純に可愛らしいだけではなく、どこかシュールで不気味な演出が随所に施されていたり、暗喩的な描写が散見されていたりで作家性抜群。時折挟まれる神経に障るほどエグイ画面が心臓に悪い。
 個別に語りたい名エピソードがいくつもあるんだけど、手元にないと難しいなぁ。もしかしたら単行本揃えるかもしれない。

 この作品の持つ自由さはあくまで軸があってのもの。
 全体に共通するのは人と人とのコミュニケーション。言葉はただそれだけで発信者の思い通りの意味を持つものではなく、「誰が」「誰に」「いつ」「どこで」「どのように」言ったかで容易くその意図を曲げてしまう。
 善意の言葉が人を傷つけることもあれば、足りない言葉で通じることもある。この漫画は些細な言動で容易に変動し得る不安定な人間関係の揺れを描き、それがどんなハッピーエンドや残酷な結末に転化し得るかを提示してみせた。それはきっと白でも黒でもない、「灰色」が軸にあるということなのだろう。
 作者は一切バイアスをかけずに現実を描いてみせたのではないかと錯覚しそうになるくらい、多面的な関係の構造が表現されていた。
 この作品の登場人物は、本当にそんなにダメな人たちだったのだろうか。どこにでもいる普通の人たちが、周囲の環境、ちょっとしたタイミングのズレ、選択の間違い。自分では予期できないような決定的な瞬間一つで、幸せを得たり絶望に陥ったりする。
 それもまた一つの日常なんだろうなと、そう思える残酷で素敵な怪作です。

 ※追記

 Pixivで短編「大好きが虫はタダシくんの」が公開されてますね。
 作者のテイストがよく伝わる一編なので気になる人は読んでみてください。
 個人的にはBLANKEY JET CITYの「ディズニーランドへ」という曲を思い出しました。

関連記事
スポンサーサイト
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment form













管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

ぽんず

Author:ぽんず
私は好きにした、君らも好きにしろ

アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


このブログについて

※感想記事はネタバレがデフォです。

当ブログはリンクフリーです。お気軽にどうぞ!
現在相互リンク募集中


twitter
検索フォーム
ランキング
にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ

アクセス解析
外為どっとコムの特徴
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top
Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。