アニメを中心に、漫画や映画、小説など創作物の感想を載せるブログです。

スポンサー広告

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

その他

true tears 感想

 ゴールデンウィーク? ほとんどアニメ見てましたが何か?


 人気アニメ制作会社で知られるP.A.WORKSの記念すべき一作目。
 ベテランアニメ作家の西村純二監督と新進気鋭の脚本家岡田麿里さんによる、今時珍しい恋愛(≠ラブコメ)を主軸にした積み上げ型の青春物語である。

 いや、これは傑作ですね。ここまできっちりと人間描写をして、誠実に恋愛をやった作品はなかなかないんじゃないかな。「青い花」とか「放蕩息子」とかまだ見てないのに勝手に同ベクトルと思ってるんだけど、どうなんだろう。
 何よりも女の子の描写が素晴らしい。視聴者は神の視点で見てるからある程度は把握できるけど、主人公眞一郎やその親友三代吉の視点から見ると、本当に唐突に喜んだり不機嫌になったりするんですよね。摩訶不思議な女の子の言動、その裏にある心理を表情や暗喩を用いた演出を通して理解できるように作られていてスゴイ。女の子をやや露悪的に描くマリーさんと、印象的なモチーフや構図による心情の演出力に優れた西村監督の相性がかなり良かったんじゃないかな。
 特にヒロインの一人である湯浅比呂美のキャラ造詣が個人的にドストライクなんだけど、彼女については別に記事を書きます。

 この物語は、眞一郎が真の主役である石動乃絵と出会い、恋愛劇を通じて相互的に影響を与えていく成長物語である。
 石動乃絵は所謂不思議ちゃん、浮世離れした女の子だ。しかしながら、彼女には人の嘘を見抜き物事をストレートに理解する優れた感性と観察力がある。彼女の「飛べる/飛べない」は要するに「自分の本心に従ってやりたい事を通せるかどうか」というようなことなのだろう。
絵本を出版社に出すも不合格で、淡い恋心を向ける比呂美とも上手く話せない眞一郎は飛べない。とある事情から自分の想いを秘め、本心を隠して行動する比呂美も飛べない。
 ふわふわしているようで、自分の中に絶対の価値観を持つ少女。純粋である一方で、しっかりと自分を持っている点が彼女の魅力だと思う。
 乃絵は泣く事ができない。それは過去に死んだ祖母が、彼女の涙を持っていってしまったから。彼女は真実の涙を取り戻すため、「涙をもらう大切な人」として眞一郎を見出し、やがて恋心を抱く。

 眞一郎はそんな彼女に振り回されながらも感化されていく。乃絵が名前を付けた学校のニワトリ、飛べる雷轟丸と飛べないじべたの二羽を主役に絵本を描き、以後その絵本が彼の心情や状況の変遷の暗喩として使われる。また、絵本は乃絵との絆の証でもあり、本編を通じて彼は乃絵以外に絵本を読ませない。
 色々あって彼は中盤乃絵に告白し、付き合うことになるのだけど……。眞一郎が持つ心の底の願いというのは、1話の時点から「比呂美の涙を拭う」ことで、つまり彼が飛べるようになるというのはイコール比呂美に想いを告げることなんですよね。この構造からして乃絵は恋愛的には始めから詰んでるという切ない事に。まあ眞一郎が心変わりするという可能性も最後まで残っていたわけですが。

 乃絵は眞一郎に恋をすることで、今まで知らなかった感情に戸惑いを覚える。付き合い始めの頃の乃絵は本当に幸せそうだったのですが、9話で眞一郎が本当に好きなのは誰かに気付いてしまうんですね。そこから彼女は嫉妬と、それに連なる失恋の痛みを味わうことになる。
 恋をすることで彼女は変わった。邪険に扱ってきた飛ぼうとしないニワトリ「じべた」にも愛情を向けるようになる。簡単に言うと視野が広がったということかな? 三代吉の頼みに応えて呪いを掛けてあげたのがいい例。
 眞一郎の本当の想いを知った後の乃絵が、本当にいじらしいんですよね。10話以降は、乃絵も比呂美も愛子も自分の気持ちに整理を付けようと行動している中で、眞一郎が答が出てるくせにいつまでもグダグダしててやきもきしました。

 失恋しただけでも辛いのに、じべたが本当は自らの意志で飛ばないことを選んでいると理解し対比で自身の逃避を自覚し、12話では兄・純の突然のカミングアウトを喰らい、祭では比呂美が秘め続けてきた想いを知らされ、自分が本当は何も分かっていなかったのだと気付く。真心の想像力と言っておきながら、人の感情に対して全くの無知だった。
 たくさんの「辛い」「悲しい」が彼女を襲い、それでも泣けない彼女は現実から逃れようと木の上から飛び降りる。乃絵の「飛ぶ」は「涙を取り戻す」ことという解釈で多分いいんだよね? 何も見抜けない自分が、「大切な人の気高い涙」をもらえるわけがないと絶望したわけだ。

 そんな彼女に、眞一郎は自分の描いた絵本を見せる。眞一郎は、比呂美への想いを告げた上で、自分が「飛べた」のは乃絵が信じていてくれたからだと彼女に言う。乃絵と出会うことで、眞一郎は変わることができた。そして自分も、乃絵が飛べると信じていると。
 それを受けて乃絵は言う。

「眞一郎が、私が飛べるって信じてくれる。それが、私の翼」

 それは彼女も変わっていくという決意表明。恋愛的な勝ち負けを越えて、二人は二人だけの絆を結んだ。
 乃絵の純粋さに、気高さに心を震わされた眞一郎。眞一郎への想いを胸に、失恋を受け入れた乃絵。確かに失ったものと、不確かながら得たもの。心の成長の証として、二人は真実の涙を流す。

 本当に空を飛ぶことはできないけれど、胸を張ってじべたを歩くことはきっと飛ぶことと同じくらい気高い。痛みを乗り越えて、少女は今を生きていく。切なくも清々しいラスト。
 このように一人の少女の成長物語としての魅力、人間関係の複雑に絡まった恋愛物語としての魅力、余白を残しつつも細かな演出で描かくことによってリアリティを持ったキャラクターの魅力。様々な要素が見事に絡み合った素晴らしい作品でした。


関連記事
スポンサーサイト
Comment
Trackback
Trackback URL
Comment form













管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

ぽんず

Author:ぽんず
私は好きにした、君らも好きにしろ

アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


このブログについて

※感想記事はネタバレがデフォです。

当ブログはリンクフリーです。お気軽にどうぞ!
現在相互リンク募集中


twitter
検索フォーム
ランキング
にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ

アクセス解析
外為どっとコムの特徴
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

Page Top
Powered by FC2 Blog | | Template Design by スタンダード・デザインラボ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。