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映画

言の葉の庭 感想

 新海誠監督作品ははじめて見ました。圧倒的美術センス。

 降りしきる雨。波紋を広げる水面。雫に打たれ揺れる葉。
 素晴らしい背景美術のクオリティにすっかり魅せられました。

 これは恋の物語でもあり、自意識の殻から抜け出し歩きだすための再起の物語でもある。新宿御苑、雨の日の休憩所で出会った15歳の少年タカオと大人の女性ユキノ。それぞれに悩みを抱える二人は、何一つ打ち明けなくていいある意味で互いに都合の良い憩いの関係を築いていく。
 雨の日だけあの場所で会える。そこは何者にも干渉されない、二人だけの閉じた世界。

 タカオは家族や友人にも本気にされない夢をユキノに語り、ユキノは味覚障害を起こすほどのストレスをタカオとのやり取りで回復させていく。「靴」がモチーフで使われているように、ここで二人はそれぞれ未来へ歩きだすための靴を作っているわけだ。
 しかしそんな優しい時間は長くは続かず、梅雨明けと共に二人が会う機会は減っていく。そしてタカオは学校という「あの場所」の外でユキノの正体を知る。

 ユキノに惹かれていたタカオにとって、「子供」と「大人」というだけでも隔たりを感じていたのに、そこに明確な年齢差と「教師」と「生徒」という立場の違いが加わってより大きな壁を象った。

 そこで始めてタカオは出会った日の短歌の意味を知り、雨の降っていない新宿御苑で彼女に歌を返す。世界がそれに呼応するように雨が降り、また二人の世界がやってくる。しかしそれは今までのような優しい雨ではなく、二人の身に冷たく叩き付けられるどしゃぶりの雨。もはや今までのように互いを知らないままでいられた関係には戻れない。

 二人はいつもの場所を離れ、ユキノの部屋へ。そこで自分の想いを告白するタカオだが、ユキノから返ってきたのは立場通りの額面的な言葉。断りではなく、想いを伝えることすら拒否する言葉にタカオは深く傷付けられる。
 ここからクライマックスで、雨の激しさとユキノの感情の爆発に合わせて盛り上がるBGM。これまでずっと静かだった画面が、みっともなく走るユキノの動きによって彩られる。追い縋る彼女にタカオは、自分の不満と彼女への憤りを全てぶち撒ける。ユキノは自分の想いをぶつけるかのように彼に駆け寄り抱きしめる。ここで雨が止み、徐々に晴れていく世界。二人のだけの世界は終わりを告げ、それぞれの人生を歩きだしていく。
 雨を使ったキャラの心情の変遷が素晴らしく、ED曲の余韻も見事で感動的でした。

 個々人の事情や立場の違い、それらを無視できる閉じた空間。それは自分を癒し励ますには便利な場なのだろうけど、一方で互いが何者かも知ることのできない状況では「恋」をすることすらままならない。それには相手を知り、傷付け、踏み込んでいくことが必要なのだ。だからこれは、二人の人間が自分一人の世界から他者のいる世界へと歩きだすための再起の物語だったのだろう。


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