戦姫絶唱シンフォギア
戦姫絶唱シンフォギアG 9話 「英雄故事」 感想
背中合わせ 違う雲を見てる
いつだって響の帰る場所であり、陽だまりだった未来。
戦うほどに命を失っていく響を未来は守りたかった。しかし響は「人助け」の衝動には抗えない。彼女を止めるには、彼女の日常を守るには力が足りなかった。
だからきっと未来は響を守るための「力」を求めたのだろうと思う。ウェル博士の所業で降り立った彼女に自由意志はないようだが、ギアを纏うことを選び取ったのは彼女自身の意志のはずだ。
そしてそれは、響にとって最も大切な「日常」を失うことを意味する。響はなんの疑念も持たず「私が未来を助けるんだ」といつもと変わらぬ決意を固める。しかし未来の想いは「私だって守りたい」だ。互いに想い合っているのに、いや、だからこそすれ違ってしまう。
響が自分の存在証明のため戦いを止められないがために、ついには一番大切なものまで失われてしまった。響が抱える問題はここに最悪の形で結実したと言えよう。逆に言えば、これ以上落とすことはない……はず……多分。
一方で徐々に日常が壊れていくのを感じているクリスちゃん。
それは全て、自分がノイズを召喚し操るソロモンの杖を起動させたせい。響といい、マリアといい、この作品のキャラクターは基本的に他人のせいにはせずすべて自分の責任に感じてしまうのがいじらしい。ちなみに東京スカイタワーでの戦いを締めるのがクリスちゃんなのも一期を踏襲した描写ですね。
クリスちゃんは罪の意識から線を引きがちだし、翼さんは強くある為に己の身を必要以上に研ぎ澄まそうとしている。彼女もまた不器用で対話は失敗してるけど、バラバラになったチームをなんとか繋ぎとめようとしているのがかつて敵だったクリスちゃんというのがまたね。
その手を血に染め、嘆き悲しむマリア。
彼女は「力を以って貫かなければ正義を為すことはできやしない」と、ついに人倫にもとるウェル博士のやり方に賛同する。これはねー、実際今まで「優しさ」が足を引っ張り、「力」で非道な行いを繰り返してきたはずのウェル博士が最も計画遂行に貢献してきた描写があるから「ただの優しいマリア」ではもう信念を貫けないという思考に説得力があるんだよね。
しかし調曰く、マリアは常に弱い者の味方であった。彼女の優しさに調も切歌も救われてきた。そんなマリアが、今度は強者の「力」を振るい弱者を抑えつけようとしている。
それはもう調が慕うマリアではない。いや、マリアは変わったわけではないのだ。自分たちが振るう力で人々が傷付き、死に行く様を苦しみながらも見つめている。それが分かったから、調はマリアを助けるために歌う。たとえそれが計画遂行の邪魔になっても。
優しさで、人を想う気持ちで「個」を救うことはできるだろう。しかしマリアが求めるのはもっと多くの人々を救う「力」だ。強者の支配構造を終わらせるために、強者の理論を振るうことをためらわないというのがマリアの覚悟。それを弱者の視点に立つ調は望まない。彼女は常に「切歌と一緒にいたい」「マリアの力になりたい」と大切な誰かのために戦っている少女なわけだ。
そして響とは別の「自分が自分でなくなる」恐怖に怯える切歌。
時間がないから、たとえそれが嫌なことでも強引なやり方に縋るしかない。彼女は響とは逆で、自分のアイデンティティを確立する手段がないからそれを他者に委ねてしまう。それは愚かに見えるけれど、自分の存在そのものよりも存在意義ばかりを憂慮する響が異常なだけなんだよなぁ。
切歌は自身の喪失と忘れられる恐怖から、固い絆で結ばれていたはずであった調の「誰かを守るための戦い」を否定してしまう。この辺「響―未来」ラインと状況は一緒で立場は逆の対比になってるかな。最低限の描写で情報圧縮しまくってるからなかなか読みきれない。
誰もが何かに囚われて、同じ空の下で違うものを見ている。でもそれぞれの問題は、きっと一点に収束しているはずだから残りの話数でも十分消化できるはず。
全員の気持ちが一つになった時、空に七色の光輝く虹が掛かるんじゃないかと予想しています。
え? 英雄故事?
あんなもんどうやって触れろって言うんだ(笑)
戦うほどに命を失っていく響を未来は守りたかった。しかし響は「人助け」の衝動には抗えない。彼女を止めるには、彼女の日常を守るには力が足りなかった。
だからきっと未来は響を守るための「力」を求めたのだろうと思う。ウェル博士の所業で降り立った彼女に自由意志はないようだが、ギアを纏うことを選び取ったのは彼女自身の意志のはずだ。
そしてそれは、響にとって最も大切な「日常」を失うことを意味する。響はなんの疑念も持たず「私が未来を助けるんだ」といつもと変わらぬ決意を固める。しかし未来の想いは「私だって守りたい」だ。互いに想い合っているのに、いや、だからこそすれ違ってしまう。
響が自分の存在証明のため戦いを止められないがために、ついには一番大切なものまで失われてしまった。響が抱える問題はここに最悪の形で結実したと言えよう。逆に言えば、これ以上落とすことはない……はず……多分。
一方で徐々に日常が壊れていくのを感じているクリスちゃん。
それは全て、自分がノイズを召喚し操るソロモンの杖を起動させたせい。響といい、マリアといい、この作品のキャラクターは基本的に他人のせいにはせずすべて自分の責任に感じてしまうのがいじらしい。ちなみに東京スカイタワーでの戦いを締めるのがクリスちゃんなのも一期を踏襲した描写ですね。
クリスちゃんは罪の意識から線を引きがちだし、翼さんは強くある為に己の身を必要以上に研ぎ澄まそうとしている。彼女もまた不器用で対話は失敗してるけど、バラバラになったチームをなんとか繋ぎとめようとしているのがかつて敵だったクリスちゃんというのがまたね。
その手を血に染め、嘆き悲しむマリア。
彼女は「力を以って貫かなければ正義を為すことはできやしない」と、ついに人倫にもとるウェル博士のやり方に賛同する。これはねー、実際今まで「優しさ」が足を引っ張り、「力」で非道な行いを繰り返してきたはずのウェル博士が最も計画遂行に貢献してきた描写があるから「ただの優しいマリア」ではもう信念を貫けないという思考に説得力があるんだよね。
しかし調曰く、マリアは常に弱い者の味方であった。彼女の優しさに調も切歌も救われてきた。そんなマリアが、今度は強者の「力」を振るい弱者を抑えつけようとしている。
それはもう調が慕うマリアではない。いや、マリアは変わったわけではないのだ。自分たちが振るう力で人々が傷付き、死に行く様を苦しみながらも見つめている。それが分かったから、調はマリアを助けるために歌う。たとえそれが計画遂行の邪魔になっても。
優しさで、人を想う気持ちで「個」を救うことはできるだろう。しかしマリアが求めるのはもっと多くの人々を救う「力」だ。強者の支配構造を終わらせるために、強者の理論を振るうことをためらわないというのがマリアの覚悟。それを弱者の視点に立つ調は望まない。彼女は常に「切歌と一緒にいたい」「マリアの力になりたい」と大切な誰かのために戦っている少女なわけだ。
そして響とは別の「自分が自分でなくなる」恐怖に怯える切歌。
時間がないから、たとえそれが嫌なことでも強引なやり方に縋るしかない。彼女は響とは逆で、自分のアイデンティティを確立する手段がないからそれを他者に委ねてしまう。それは愚かに見えるけれど、自分の存在そのものよりも存在意義ばかりを憂慮する響が異常なだけなんだよなぁ。
切歌は自身の喪失と忘れられる恐怖から、固い絆で結ばれていたはずであった調の「誰かを守るための戦い」を否定してしまう。この辺「響―未来」ラインと状況は一緒で立場は逆の対比になってるかな。最低限の描写で情報圧縮しまくってるからなかなか読みきれない。
誰もが何かに囚われて、同じ空の下で違うものを見ている。でもそれぞれの問題は、きっと一点に収束しているはずだから残りの話数でも十分消化できるはず。
全員の気持ちが一つになった時、空に七色の光輝く虹が掛かるんじゃないかと予想しています。
え? 英雄故事?
あんなもんどうやって触れろって言うんだ(笑)
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結局先週の爆発で嫁(未来)が行方不明になった響。
さて、これから復帰するか周りのサポートは?という9話目でございました。
今回は活躍のクリス。
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