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銀河機攻隊 マジェスティックプリンス 感想

 2クール作品を一気に総括するのはなかなかキツイな(笑)
 ちなみに現在ニコニコ動画で全話無料配信中(9/30まで)デス!

 何よりもまず、チームラビッツのキャラクターに惹かれた本作。5人それぞれを順に映したり、画面を分割し5人の姿を並べるカットを多用して序盤から彼らのキャラクターを立たせる演出が特徴。
 特に彼らの成長過程を描きつつ、順を追って背景設定を開示していくことで縦横の関係性とキャラクター性を積み上げていく前半の作劇は素晴らしかった。

 本作の作風か、主人公たちには「戦争の兵器として作られた子どもたち」という重い設定があるのだけど、それを前面には押し出さず当の本人たちをあまり苦悩させない。あくまでコメディ寄りなノリを崩さず、深刻にならない空気を維持しつつ、しかしながら確実に設定がキャラクターの魅力として活きるような作劇。
 シリアス面を表に出さない作劇は、個人的に同じ吉田玲子さんが構成を担当した「たまこまーけっと」をちょっと思い出した。

 ただ、その作風のせいか後半は「もうちょっと踏み込んでもいいんじゃないか?」と思うところもあったりで。特にアンジュは聞くところによると「アンチ・ジュリアシステム」云々という設定があったそうで、あまり掘り下げずになんとなく馴染んでいってしまったのは勿体無いかなぁ。
 最終的にアンジュはラビッツの一員というより、ザンネン5+1でドーベルマンとも組んだりする自由な立ち位置だったので、使い手は色々ありそうだし2期に期待。
 他にも主にテオーリア関連で思わせぶりながら結局描かれなかった部分が多過ぎるので、そこはちょい不満かな。

 これは不満ではないけど、戦争中であっても明るさや軽さを損なわない作劇をしていたからこそ戦闘シーンでの熱量に欠けるところがあって、結局死人の出た19話のチームドーベルマンたちが見せた瞬間風速が際立ってしまったのは物語の盛り上げ方についてちょっと考えさせられたなぁ。


 物語全体としては部分的に掘り下げ不足があったものの、地球人とウルガルとを分かりやすく対比しつつ、「本能」というキーワードを持ってドラマを積み上げていったのは好印象。「勝つ」ことよりも「生き残る」ことに重点を置いた戦いを序盤から強調しつつ、最終回での覚醒のきっかけにした構成は見事。

 「自分たちはウルガルの兵士とは違ってちゃんと自分たちの意志で戦っている」というイズルの言葉と、記憶も消されて戦う以外の選択肢なんて持っていなかったという彼らの存在理由のジレンマをちゃんと周りの大人も共有していて、その上で家族としての絆を一から積み上げて行ってるのがね。
 はじめは家族の概念すら分かってなかった彼らが、終盤で自分たちを「家族みたいなもの」と呼べるまでに至る。きっかけとなったのがアサギとイズルの兄弟発覚事件なのは血の繋がりを強調しているようにも取れるけど、きっかけはあくまできっかけで彼らの感情は5人だけでなくドーベルマンやゴディニオン、ピットクルー他関わってきた全ての人々に向けられているので本来の「家族」を越えた輪の広がりを描いてるんだよね。

 「家族」や「生き残る」ことと関連する形で、「タスケアイ」をテーマに持ってきてるのも良い。ラビッツはザンネンだからこそ、互いに助け合って成長して生き残っていくというストーリーで一貫している。
 象徴的なのが、敵として配置されたウルガル幹部との対比。
 「ラマタ」なんてタイマンを想起させるキーワードを出してくるものだから、てっきりラビッツ一人一人と幹部達がマッチアップする展開かと最初は思っていた。
 だが実際に対等の相手として認識されていたのはイズル(アンジュも?)ぐらいで、基本的に他のメンバーは単体でウルガル幹部に対抗することはできない。
 しかし、一人では無理でも「タスケアイ」によって彼らを倒すことができる。クレインとルティエルをチームプレイで撃破したのはそういうこと。一方でウルガル側は度々独断専行や、味方であっても弱い者や邪魔する者は切り捨てる様を描いているので「タスケアイ」の対比になっているわけだ。
 そして同じウルガルでありながら地球人側に付いたテオーリアやダニールが彼らに影響を受け「守りたい」という感情を理解していく(できれば過程も見たかったが、そこは空白の時間の話なので)構図で相互理解の可能性も示唆してたり。
 「狩る者/狩られる者」という設定が上手く活きていたと思う。一種ご都合主義的な展開の理由付けにもなっていたりね。


 もう一つ忘れてはならないのが「ヒーロー」というキーワードで、ヒーローに憧れる主人公のイズルは当初から自分だけでなく、「みんなでヒーローになろう」と言い続けてきた。
 実際本作は序盤でプロパガンダとして英雄に祀り上げられてきたチームラビッツが、最終的に名実共に地球人の英雄として大成するという構成になっている。
 一方でイズル自身はレッド5の覚醒によって最強の敵ジアート(チームプレイでも倒せない)と対等に渡り合える個の英雄としても変化していく。ここで「個の英雄に依存する戦線は長く持たない」というアンチテーゼが掲げられ、最終決戦においてイズルは出撃を禁じられる。
 それでも仲間のピンチに助けに行くからこそヒーローなのだけど、闘争本能に刺激されて暴走してしまい撤退命令も聞けないほどに侵食されてしまう。
 ここでラビッツの総ツッコミというこの作品らしい脱力するやり方で一端正気に戻り、そしてさらなる追撃を仕掛けてくるジアートに対し今度は生存本能を以って自我を保ったままイズルは真の覚醒を果たす。これは本能を克服したというよりも、自分のやりたい事と折り合いを付ける形で本能に指向性を持たせた、まさに「乗りこなした」という描写。
 これでイズルは本物のヒーローになったわけだが、そんな彼を信じて支え続けた「みんな」もまたヒーローという読みもできる。この辺序盤でランディがヒーローの条件として「諦めない」「決断する」「仲間を信じる」ことを挙げたのが活きていて、何度ゲートの破壊を失敗しても諦めずに総力を尽くし、ラストシーンでもイズルの生存を信じて全員で彼を探す描写を挟んでいるのが印象的。若干読み取り難かったが、「個の英雄」と「みんなでヒーロー」を両立した描きになっていたように思う。

 
 演出面では、引きの弱さやシーンの繋ぎの唐突さが気になったものの、多数のキャラクターを細かい仕草も分けて描写していた印象。また、各ロボットをそれぞれ機能別に個性付けしつつ、1シーンで俯瞰するようなカメラワークでチームの連携を動きとして見せるのも上手かったと思う。
 そして何よりすごいのは戦闘シーン。オレンジの3DCG技術は私の知る限りでは日本トップクラスで、先日『コードギアス 亡国のアキト』を見たときでもそうだったけどグリグリ動くロボットの動きは部分的に手書き作画のそれをも上回っていて、技術の進化を感じたなぁ。殺陣や構図も凝っていて、またハイスピードながらギリギリ何やってるか目で追えるラインを保つバランス感覚も素晴らしかった。
 従来の手描き作画も、後半少し崩れたことを除いては安定していて、特に前半1クールは終始高水準だったように思う。

 総じてエンターテインメントとして良く纏まっていて、細かい不満はあれど毎週楽しみに見ていた作品。ラビッツの5人に早い段階で愛着を持たせた時点でスタッフの勝ちだろうな。2期も楽しみです。


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アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


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