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映画

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 【新編】 叛逆の物語 感想

Just do it ほら同意を得た
本当のエゴ見せてやるんだ

 TV版のラストで魔法少女の純粋な願いを謳ったわりに、それに対比する形で描かれた彼女たちのエゴイスティックな欲望の扱いについては宙ぶらりんで「ええー……」となった身としては、この劇場版でまさにその「エゴ」に焦点を当ててくれたというだけで称賛したい気持ちになりましたね。ある種の爽快感を覚えました、面白かったです。

 まず映像が物凄かったですね。イヌカレー空間は顕在ですが、今回は冒頭のシーンからアーティスティックな映像美術がアニメーションに完全に溶け込んでおり、単なるコラージュではなくそのまま動き回っていました。エフェクトの質まで異世界仕様になってやがる、橋本敬史さんさすがッス。
 全体的に画面がゴージャスで、特にTV版ではほとんど見られることのなかった魔法少女達が連携して戦う姿を縦横無尽に飛び回る大立ち回りで描いたのはファンサービスとしても充実した内容だったのではないでしょうか。
 ぶっちゃけナイトメア戦は何やってんのかさっぱり分かりませんでしたが、クライマックスの決戦はかなり見応えがありました。
 そして何よりもマミさんとほむらの一騎打ちですよ。
 ガン=カタですよガン=カタ! 英語の副題がRebellionですよ! リベリオンの原題はEquilibriumだけどな!
 止まった時空で描かれる弾丸の軌跡は芸術的だし、動きもスタイリッシュだし、マミさんがすごいカッコイイよ! さすがにこんな戦闘シーンはアニメで始めて見ましたねー、シビレました。
 あと映像面で気になったのは、ほむらの変身バンクで一瞬ウテナのアキオカーバンクのようなカットが挟まれていたような気がしました。

 梶浦さんの劇伴も、より幅広くなっていてファンシーなマーチや童謡のような楽曲もあって、この辺自分の語彙力が無さ過ぎて正しい単語を使えているのか分からないのですが(笑)、先の映像世界と相まってなんとなくディズニーアニメっぽい雰囲気を感じました。元々デザインセンスがカートゥーンっぽいしね。
 
 しかしながら如何せん映像美術も演出も劇伴もおまけにストーリーも味付けが濃過ぎるもんで若干胸焼けがしたのも否めません。
 また、演出的にも映像の作り込みが過剰だと感じる部分がありました。
 ほむらがナイトメアと戦う世界に違和感を感じ、杏子を連れ立って隣町に移動する所です。ここ、見滝原以外存在しない虚構世界だと発覚するゼーガペイン的なシーン(そういやまだビューティフルドリーマー見てねぇなあ)なんですが、2人が目的地にたどり着けないのがおかしいとか言われていても映像的にはずっとワッケ分かんない不穏な感じが続いてて、彼女等が感じる衝撃をちっとも共有できませんでした。もしかしたら別種の違和感を感じさせる演出意図なのかもしれませんけど、ただ単に普段から異空間を演出しまくってるから肝心な時に効果が発揮されないシャフトの悪癖が出てただけな気がします。


 ようやくストーリーの話に入れます。
 先に不満を言っておくと、新キャラ(名前忘れた)の存在意義がイマイチ分からなかったのが1点。いや、カップリング的にハブられてるマミさんの救済措置としてのパートナーだったんだろうけど、人間形態になってからほとんど絡まなかった様な気がするのは何故でしょう。いや、ブラックボックスなマミさんの過去を埋める存在としての役割は果たしたからということで理屈は分かるんだけど、人間形態として出す必要性が分からん。
 もう1点、不満という程でもないんだけど、さやかと杏子がやたら仲が良くて、まあこの2人の絡みは嫌いじゃないけど、さやかが「杏子をひとりぼっちにしたのが心残り」とか言っちゃうのはさすがにちょっとファンサービスが過ぎるんじゃないかと思いました。言うほどの絆はなかったやん、杏子の一方通行気味だったし。
 まあ2人の共闘っぷりにはなんだかんだでテンション上がったんですけどね。


 で、重要なのはほむらの話ですよ。
 彼女はまどかがいなくなった世界に絶望し、インキュベーターに囚われてソウルジェムを保ったまま魔女化するよく分からない事態に陥って、皆仲良くハッピーな仮想世界を作り出し自らの記憶も消し去ったまま閉じこもっていたのでした。
 ほむらの産み出した世界はまさに理想そのものなんですよね。魔法少女たちが死なず、協力し合って戦い、幸せそうに過ごす世界は少なくない視聴者が望んでいたもののはずです。仁美戦でいきなりケーキがどうのとわけのわからないゲームが始まった時(ぶっちゃけあのシーンが一番狂ってた)は正直見てるのが若干苦痛でしたが、あの過酷で陰惨だった魔女との戦いが文字通り茶番めいた儀式に移り変わっているというのも、悪意を感じなくもないですが理想を求める心が産み出したものなのかもしれないですね。
 しかしほむらは幸せ過ぎる日常に違和感を感じ、ついに真実を突き止めてしまうのでした。
 ここにいればまどかともずっと一緒にいられる。だがこのままだとまどかはインキュベーターに囚われ、いい様に利用されてしまう。エロ同人みたいに!
 だからほむらは幸せな世界を自ら壊すべく魔女へと覚醒します。そっからなんやかんやあってインキュベーターを追っ払い、元の世界に戻った皆。
 神としての自分を思い出したまどかは、魔女化から救われて死んだほむらを円環の理とやらに導きます。冷静に考えるとこれが彼女の考えていた救いなら全然納得できないんですがまあそれは置いておきましょう。
 ここでどんでん返し、「これを待っていたあああああ!」とばかりにほむらがまどかの力を奪います。ほむらは願いでも呪いでもなく、愛の力でまどか神と同等にして対となる悪魔として覚醒。何故そこで愛ッ!?

 ここでエゴイスティックなまでの愛ですよ。
 因果だの願いだの、TV版でさんざ理屈を捏ね回されてなんか煙に撒かれた気分だなーと思ってたところに条理を吹っ飛ばす情念の力を見せる。スカッとしましたねー。
 願いの裏に潜んでいるはずの欲望、そこを無視したまどかの願いに対し、対極たるほむらがエゴで持って彼女と並び立つ存在となる。見たいものを見せてくれたという感じですね。そう、それは絶対的に否定されるものではなく、別個の正義として存在し得る願いと表裏一体の人間の本質そのもの。
 人間のエゴを肯定するという段取りは何気にさやかや新キャラ(名前忘れた)といったかつて魔女だった存在と共闘するという展開でも描けてはいたのですが、そこんとこを無視していたはずのまどかがそれら全て内包しちゃってるんでそれだけじゃロジックが足りなかったんですよねー。これでようやく歪だった作品世界のバランスが取れた。
 対極の存在あっての秩序ですよ。もうこれで完結でいいくらい清々しい。眞悧と桃果、というにはこの2人は「個」としての存在感が強すぎるかなー。あっちはあくまで舞台装置でしたからね。

 私がこの劇場版で一番好きな、厳密には2つなんですけど、対比になっているシーンがあるんです。
 真実を知ったほむらがまどかと対話するシーン。まどかが誰からも忘れ去られてしまうことを耐えられないくらい辛いと言ってしまったのが、おそらくラストのほむらの決断に繋がる重要な場面なんですが、ここでまどかはほむらの髪を弄って三つ編みにしようとするんですね。三つ編み眼鏡のほむらは彼女の原点でもあり、まどかの後ろに付いていって守ってもらっていた頃の彼女です。彼女が三つ編みをほどくのは、まどかを守れる「カッコイイ」子になると決意したからなんですね。
 そして三つ編みを結わえるまどかの手を振り払ったほむらが悪魔になり世界を作り変えた後、彼女はかつてのまどかの象徴である赤いリボンを自ら身に着け、オレンジのリボンで結っていたまどかの髪をほどいてから赤いリボンを結わえ直します。これでほむらの知っている、神ではないただの少女まどかの完成です。
 これら2つのシーンで見られるのは、2人とも自分の手で他方を自分が思い描く姿に作り変える、つまり「こうであって欲しい」という互いに対する願望です。

 神となったまどかにとってはほむらは守るべき対象で、もう自分の心を傷付けてまで頑張らなくていいと思ってる。
 悪魔になったほむらにとってはまどかは孤独な神ではなく、自分も含めた幸せな世界で生きる少女でなくてはならない。

 ここに表れているのは、2人の「願い」であり「エゴ」です。相手の本当の姿を見ずに、自分がそうであってほしい、幸せになってほしいという2つの感情がないまぜになったが故のすれ違い。だからこそ2人は対極の存在として、互いの幸せを望みながらも敵対し得る存在となった。
 表裏一体の「希望」の話の終着点として、これ以上ない結末になったわけです。あれ、わりと絶賛してないかこれ?(笑)
 
 叛逆込みでなら、この作品好きですよ私。
 この一週間はまどマギ漬けで、それなりに刺激的でした。


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Comment

No title

明けましておめでとうございます。

「まどマギ」は結末を知った上で観ても久しぶりに感動するアニメでした。

このころの僕はハッピーエンドで終わった作品の登場人物を神様として観ていたので、まどかちゃんがほむらに本音を言う場面は信じたくない気持ちでいっぱいでした。

「叛逆の物語」があのような結末を迎えたのはショックでしたがあの結末をだったからこそ(色んなアニメやドラマの登場人物たちを神様として美化するのではなく一人の人間としての弱さも受け入れたい。)と思うようになりました。

Re: No title

>シンジンさん

今更言うことじゃないですがあけましておめでとうございます。

インプットの情熱はともかく、アウトプットのそれが死にかけてるのでブログも放置していました。ネタはあるんですけどねー、形にならない。

わりと真逆の感想で面白いですね。これも4年近く前の映画ですか、懐かしい。
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アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


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