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小説

「砂の女」 安部公房 感想

 日本語が不自由過ぎて自分を呪いたい。
 思ったような文章が書けない~。


 安部公房はこれが始めてですが、すごいですね。
 高度な文学性を持ちながらも、文章が非常に読み易く、その上物語もぐいぐい惹き込まれるようなエンターテインメント性があります。
 
 常に流動し続ける「砂」と灰色の日常の中に定着「家」という対比関係にあるようでいて、物語上ではむしろ相互補助関係にあるとも言える2つのモチーフが象徴的である。
 砂の中に囚われた主人公、そこには女が一人いて、情欲や生活感の形成そのものによって彼を陰鬱で怠惰な日常に、まさに蟻地獄のように引きずりこんでいく。
 彼は女を利用しようとしながらも、結局は抱き、脱出しかけた際も情を見せ、最終的には己の日常として認識させられてしまっていた。
 
 ただ砂を掻いて暮らす日々に、人間的尊厳などはない。それなのに、女は愛郷精神を謳い「家」に異様な執着を見せ続ける。
 そもそも男は、定着に付随する堕落した人生を嫌って、流動し続ける「砂」に見せられたはずだった。だから、彼が砂の中の家で課せられたのは忍耐の戦い。彼を閉じ込め続ける「砂」に向かって足掻き、その「家」に慣れてしまわないよう、定着に抗い続ける忍耐の戦いだったはずだ。
 劇中で彼は何度失敗しても脱出を諦めない。しかしどうだ、物語のラストで事態を打開できる可能性を秘めた溜水装置を発明するも、それを部落の誰かに話すことを考えてしまっている。すでに絶対に出られない砂の中で隷属したフリをし続け、情と欲によって繋がれた女と過ごし、脱出を画策し続ける日々それ自体が彼の日常と化してしまっているのだ。
 しかし、それは彼の当初の目的を鑑みれば、ある意味では筋が通っているだろう。
 彼が部落を離れ、元の生活に戻った所で、彼はそもそもそこからの逃避を目論んでいたはずだった。結局そこには彼の嫌う灰色の日常への「定着」があるだけで、ここまでどこか非日常的に描かれていたはずの砂の家の中の生活とさして変わらぬ退屈があるだけである。
 ところが、男が自己欺瞞的であっても砂の中の家への「定着」を否定し、砂からの脱出に挑み続けるなら、彼は自らが憧れていた「流動」の生き方を体言できていると言えるのかもしれない。

 ただ、そこにはもはや決して離れなくなっている「砂の女」の情念があり、彼はもう既に永遠にそこに囚われてしまっている。無自覚ながらも家の安寧に耽溺している男と、余りある惰性を愛しながらも状況に流され動かされ続ける女、ここで2つのモチーフが2人の登場人物の間で相互的に絡み付いているのが分かるだろう。
 あるいはここに、人間という生き物の哀しくも愛おしい本質を読むことができるのかもしれないが、いい加減頭痛くなってきたので止めときます。

「箱男」も積読してるので続けて読みたいけど、その前に俺ガイルの感想書かにゃあ。


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