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サムライフラメンコ

サムライフラメンコ 10話 「決戦! 敵の基地」 感想

脚が震えて 舌は縺れてる 丸腰のステージ 果たして何が見たい?

 素晴らしい、最高だった。
 人によっては出来の悪いギャグにしか見えないだろうけれど、リアリティラインが揺らぎ続ける作中の中でブレずに理想を追い求め、勝利し、あるいは敗北するヒーロー達の姿に魂を揺さぶられた。


 真野まりはヒーローに憧れていた。
 けれどそれは正義を信奉してのことではない。悪者をボコボコにする、正義を為すための手段でしかないはずのシークエンスを目的化し、『憂さ晴らし』と称して意気揚々と暴力を振るっていた。
 敵の基地に乗り込もうと仲間を誘う様はピクニック気分としか言い様が無い。あえなく囚われの身となった彼女は、キング・トーチャーによってその虚飾に塗れたハリボテのヒーロー像を看破される。彼女は主役でもなんでもない、どこにでもいる脇役の、偽物でしかないのだと。
 
 キング・トーチャーが萌の献身に敬意を表したのは、彼女の行動が全てまりを想っての偽りの無い本心で、つまりは『信念』であったからだ。
 『正義の味方』という役割に酔うだけのまりには『信念』はない。最も、暴力という形を為していないだけで、正義という立場から悪を叩く快感に溺れるのは大なり小なり誰だってしていることであるから、彼女はただの凡人であったというだけの話である。己の欲望を満たすために友人を危険に晒し、有事の際には見捨てることすら打算する、ただの浅ましい人間だ。

 それは、憧れのヒーローに為れたつもりで、結局は表面だけの真似事でしかなかった、フラメンコガールの敗北である。
 ただ、それでもまりはステージに立った。ヒーローとしての仮面も、アイドルとしての笑顔もかなぐり捨てて、暴かれた醜い素顔を晒し、心身共にボロボロのまま、震える足で、今にも泣き出しそうな声で、振り絞るように憧れに届かない悲恋の歌を歌った。
 全ての虚飾が剥がされて、最後に残ったものこそが、その人間の『本質』であると私は考える。だから、孤独でも、意地でしかなくても、それでも彼女の戦場から逃げなかったあのステージそのものに、踏まれても立ち上がる雑草魂を見た。そこにはドブネズミのような美しさがあったと私は思う。戸松さんのエモーショナルな歌唱演技に脱帽です。
 あんなに無力感と挫折感、そして不屈の心を感じさせるシーンはそうそう無いよ。どん底まで落ちたまりが、今度こそ本物のヒーローになれる日を心待ちにしている。
 

 さて、これだけでもう個人的には今年度屈指の名エピソードなのだが、今回のメインはサムライフラメンコとキング・トーチャーの対決で描かれた正義と悪の本質である。
 キング・トーチャーも羽佐間と同じように特撮ヒーロー番組を見て育ち、そして彼とは逆に悪に魅入られた存在だった。そして本気でヒーローをやってる馬鹿者が表れたからこそ、彼は世に姿を表した。そして、覚悟の証明として命を賭け、己の下に集った仲間たちを怪人に変え、最後には自身をも改造した。
 ヒーローは孤独であり、無意味な存在。それに比べて悪は自由であり、楽しいのだと。
 たしかに、羽佐間が掲げる正義は規範とモラルの厳守であった。それは人々が円滑な日常生活を送るためのものではあるのだが、あまりに厳格な要請は人々の自由を縛る。事実、序盤でサムライフラメンコに注意されてきた大衆は彼の正義にむしろ不快感を示していた。彼の善意は当人にとっては余計なお世話で、一人注意しても大局を見れば焼け石に水だ。
 2人はベクトルこそ違えど、何があっても揺るがぬ信念を持ち続ける狂人である。逆説的に、まりは凡人でしかないから彼らと同じ舞台には立てなかった。

 結束、あるいは同一化を謳う悪の組織と対比する形で、本作での正義の味方は足並みがバラバラな様を描かれた。サムライフラメンコとフラメンコガールは別々の正義を掲げて決別するし、彼らの事後処理を行なう警官代表の後藤さんとの意識のズレも徐々に表層化した。
 しかし、むしろその構図こそが、正義の本質なのだと羽佐間は気付く。

「ヒーローは孤独じゃない。ヒーローだって信じられる仲間はいる。いや、その仲間こそ本当のヒーローかもしれない。普段から街の人を助け、支え、日常の中の笑顔を守り続ける人たち。彼らは僕よりずっとずっと強い。だから僕は安心してお前なんかの相手をしてられるんだ!」

 ここで注目すべきは前回「命を賭けて悪と戦っているのは自分たちだ」と、警察ら公の機関を下に見ていた羽佐間が、彼らは自分よりも強いのだと、日常における正義の価値を転換させている点だ。
 自分と後藤の正義は違う。しかしむしろ異常なのは悪の組織とドンパチをやっている自分たちなのであって、本来この世界を守っていたのは、たとえば警察組織の人間であったり、あるいは大切な人のために我が身を犠牲にする萌のような人間なのだ。
 
 この作品は序盤の内に一般人とサムライフラメンコの戦いを通じて、正すべき悪はむしろ日常の中に潜んでいることを描いた。しかし一方で、この世界を守っている信じるべき正義もまた、同じ様にヒーローでも怪人でもない、普通の人々の中に宿っているのだということを、このエピソードで見事に描いて見せたのだ。
 だから羽佐間は、ロケットを止める役目を警官である後藤さんに任せ、「お前なんかの相手」と自らが呼び覚ました悪の親玉の相手を務める。そして決着の後、彼はその正体をついに衆目の前に晒した。なぜなら世界の善悪は表裏一体不可分の観念であり、それが分かった以上もはやヒーローも悪の組織もその役目を終えるからだ。
 正義の味方と悪の組織、この対立軸を現実世界で再現することで、善悪の闘争は可視化され、世界は表面上平和になる。しかしそれは人々が保身、あるいは精神安定のために仕組んだ欺瞞であり、正義も悪も常に自らのうちに潜んでいるのだ。安全圏から善と悪を見出して騒いでいれば平穏には違いはないが、本当は自分自身のうちに潜む悪こそが見えない敵なのであり、それこそ今回のまりの様に、ツケを払わされるが如く向き合わされる日が来るかもしれない。
 超展開と称されるこのキング・トーチャー編のエピソード群は、庶民派ヒーローの活劇に古典的な勧善懲悪を持ち込むことで、上記のような構造を浮き彫りにする意図があったのではないか。そうすると、トーチャーの目的も本当はそこにあり、彼もまた悪の親玉としての役割を全うしただけで、サムライフラメンコに敗れたのはむしろ本望だったのかもしれない。

 もうこれだけで十分名作足り得るテーゼを描いていると個人的には思うのだが、恐ろしいことにこの作品は全2クールであり、さらに先を描いてくれるということらしい。
 一度役目を終えたサムライフラメンコがどのように再び立ち上がり、何と戦うのか、全くの予想が付かないが、どんな展開になろうと最後までお供したい。

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