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放浪息子 感想

 原作も読みましたが、とりあえずはアニメ版の感想です。


 志村貴子原作、あおきえい監督作品。
 以前から興味のあった志村さんの作品、去年ニコ生の一挙で『青い花』を見て、つい先日『放浪息子』の原作漫画を読破しました。傑作だったのでそのまま流れでアニメ版も。
 共通して感じたのは、思春期の情動を繊細かつ丁寧に描き出していること。『青い花』では女子高という一種特別な空間のフィルターを通して、『放浪息子』では小中高と学年が進むことによる個々の成長と人間関係の変遷を中心に。そこにジェンダーあるいはセックスというテーマが付随することで、少年少女たちが思い描く理想の前に立ちはだかる現実の困難さ、息苦しさが鮮明に浮き彫りにされてる感じ。

 アニメ『放浪息子』では、あおきえいさんによる映画っぽいレイアウトと水彩画風に修正された映像世界によって捉えどころのない淡い青春の臭いを漂わせつつも、ふとしたタイミングで突き放すような感覚に襲われる。なんだろう、世界は自分が思い描くようには出来ていないのだと、彼らがそれを痛感する瞬間を強調するような演出が多かったように思う。特に二鳥君が自らの願いを肥大化させてそれを実行に移してしまう9話では劇伴が一切排されておりそれが顕著になっていた。
 尺が1クール分ということで、中学1年生から2年生の間に的を絞った構成だけど、実際この時期が一番色々変わってくる時期だから、監督のこの判断は英断ですね。第1話のモノローグの多さ、マリー節を感じる印象的なフレーズのリフレインは事実上途中からになる物語へ没入させるためにどこまで効果的だったのか、原作を先に読んでた分にはイマイチ分からなかったのがちょっと惜しいかな。でも随所に挟まれるオリジナルシーンは違和感なく物語に組み込まれていたし、岡田麿里さんの起用はハマッてたと思います。

 
 本作の主人公は女の子になりたい男の子である二鳥修一だけど、そんな彼と彼の対の存在である(あるいはあった)高槻よしのの2人を喰ってしまうほどの強烈な存在感を放つ裏の主人公とでも呼ぶべき存在がいる。彼らの友達、千葉さおりという女の子だ。
 この千葉さん、間違いなく最高峰のヒロインの一人なんだけど、ほんのタッチの差で私の好みからはズレるんだよなー。千葉さんに関しては『かわいい』よりも『素敵』『カッコイイ』が先立つというか。それも『イイ女』のカッコよさじゃなくて、「おれたちにできない事を平然とやってのけるッ  そこにシビれる!あこがれるゥ!」みたいなアレ。
 反骨精神というか、生き様がパンクなんですよね千葉さんは。世界は自分を中心に回っていて、気に入らないものには蹴りを入れる。丁度中学1年の文化祭周りのエピソードが千葉さんが最もカッコイイ時期だったと原作を読んだ時から思っていて、望んだ結果にはならなくても劇をやり通そうとするその意志と強情さ。特にマコちゃんなんかは、コンプレックスに押し潰されそうな時に尻を叩いてもらったり、厄介払いを兼ねつつもジュリエットとして認めてもらったりと、この辺アニメで見るとあまりにも格好よすぎて惚れないのがおかしいレベルでした。まあだからこそ彼はガチなわけですが。
 そんな千葉さんでも二鳥くんに彼女がいると発覚した時は登校拒否しちゃうんですが、その気ままさがまたロックだなと。(言いたいだけ)
 中学生編だと、こっから高槻さんとの関係を通じて千葉さんがだんだん世界が好きと嫌いに二分できるわけじゃないことに気付いて来る時期だと思うんですよね。私なんかは彼女の成長が嬉しいやら悲しいやらで複雑なわけですが、千葉さんはここら辺からどんどん「かわいい」寄りになっていくんです。でも私は「カッコイイ」千葉さんが好きだから、彼女を嫁キャラにカウントすることは色んな意味でできないんですよ。なんのこっちゃ。

 つーか放浪息子のキャラって大体みんな可愛いんですよ!
 安那ちゃんは言うまでもなくイイ女だし可愛いし、真穂だってある意味一番女の子らしくてたまにお姉ちゃんしてて可愛いし、佐々ちゃんはずっと良い子で可愛いし、高槻さんだって一度もカッコイイと思ったことなくてずっと可愛かったよ!
 原作読んだときは苦手だったちーちゃんもアニメで動いて喋ってるの見るとなんかもう可愛いし、眼中になかったモモでさえ画面の端でふて腐れてるの見ると良くも悪くも一番子供らしいキャラなのかなって思えるようになりました。
 二鳥くんは立ち位置はふらふらしてる癖に立つ足はしっかりしているような魅力があるし、マコちゃんは思考回路が一番乙女してると思います。
 あと土居な。アイツのあの無神経で平気でこっちの傷付くこと言ってくる癖に自分が嫌われてるだなんて想像もしたことないあの感じめっちゃ覚えがあって理解できるけどだからこそムカつきます。あの厚かましさは『惡の華』の山田とは別ベクトルで間違いなくリアル中坊。

 
 アニメ版の構成でクライマックスに配置されたのは中学2年の文化祭。
 二鳥くんが単なる常識や規範じゃない、明確なジェンダーの壁にぶち当たり、また身体的にも男性としての自分が頭をもたげてきてセックスの問題に直面する時期。変わらずにはいられない、だけど自分の想いは変わらない、これから待つであろう未来を確かな自覚を持った上で見据えた所で、舞台の幕上げと同時に物語は一旦幕を閉じる。
 二鳥くんもまた普通の男の子であり、それでもみんな特別だという、要は幻想を排した上での「個性」の承認を意味する高槻さんと千葉さんの会話を最後にOPが鳴り響く流れはシンプルながらグッと来ます。そして二鳥くんの自己承認に繋ぐラスト。
 見事に1クールアニメとして昇華された素晴らしい構成でした。

 感想を書くかどうかは分からないけど、原作漫画はそのうち集めるつもりです。


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