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サムライフラメンコ

サムライフラメンコ 20話 「いつか見た少年」 感想

 見えない敵は誰?

 
  突如羽佐間の前に現れ、部屋を爆破した少年・澤田灰司。
 彼はサムライフラメンコのためだけの『悪』として、羽佐間の周囲を狙った悪事を繰り返す。
 物欲も思想もない、ただ個人に向けられた純粋な悪意。最初の爆破を別にすれば、羽佐間に向けられた悪意は執拗かつ陰湿であれど手法自体は現実味を帯びたものだ。
 これまでの『悪』は皆ノルマに沿って、フィクションの悪役らしいやり方を以ってサムライフラメンコと対峙してきた。しかし18話で特撮ヒーローからの昇華と脱却を果たした後の、平和になったはずの世界で羽佐間を襲うのはどこまでも真に迫った恐怖。この辺、灰司のキャラ造詣が上手くて、理不尽な悪意に苛まれる羽佐間の反応の逐一を心底楽しんでいる、どこまでも純粋でだからこそ残酷になれる少年らしさがよく現れている。声優の鈴木晴久さんはまだ新人みたいだけど、とても良い演技をしていると思うので今後の活躍に期待ですね。

 澤田灰司、白と黒の狭間にある灰色。その名が示すとおり、彼は羽佐間の映し鏡のような存在だ。中学の同級生たちの話を聞くと、彼は普段は大人しく影の薄い少年でしかなかった。ここに世界的に知られる人気者の羽佐間との対比を見ることもできますね。現代に生きるティーンエイジャーで、日常の中に埋没して存在意義を発揮できない、いわば透明な存在は少なくなくて、灰司もまたその一人だった事は想像に難くない。
 そんな彼の前に現れたサムライフラメンコという名の非日常。物語自体が羽佐間に牽引されて非日常性を強めていったので目くらましになっているが、当初変態呼ばわりされていたようにヒーローの姿をして説教をかます羽佐間は常識の埒外の存在であり、退屈な日常を打ち破る姿に灰司はどうしようもなく惹かれてしまった。
 正義には悪が必要で、だからサムライフラメンコだけの悪になる。様々な過程を経てヒーローの本質に辿り着いたからこそ、光に影が落ちるように純化された悪が現れた。そしてそれは、羽佐間自身が産み出した幻影であり、表層的な平和が実現した世界において炙り出されてしまった内に潜む敵。いつか見た少年は、幽鬼の如く自らの影を背負って羽佐間の前に姿を表したのだ。

 誰の心の中にも闇はある。後藤さんでさえ、人知れず癒えない傷を持っていたことは前回発覚した通り。今回勃発した羽佐間と後藤さんの衝突は、互いが抱えた己の内側だけにある不安や悲しみが理解されなかったことによるものであり、端的に言えば「人は分かり合えない」というディスコミュニケーション性が発揮されたのだと言える。
 「存在しないものに振り回される」というのがミソで、これまで散々描いてきた『ヒーロー』だって非日常とされていたように現実には存在しないものだ。「『心の中にいる』ぐらいも言えねーのか」と後藤さんが言っていたように、羽佐間が信じてきたヒーローだって、彼がそれを現実にしていくまでは、テレビの中にしかいなかった存在から『何か』を受け取っていたに過ぎない。そして羽佐間がサムライフラメンコとしてやってきたことも、ヒーローという『偶像』を人々の心に刷り込み、彼の信じる正義を伝播することだったはずだ。しかし、正義を伝えることはできても、消えた恋人に囚われ続ける後藤さんを癒すことはできず、むしろ唯一つの拠り所を否定することで彼との間に深い溝を作ってしまった。この正義の伝播の裏に潜む押し付けがそのまま光に対する影であり、羽佐間は後藤さんに『理解ってもらえない』というそっくりそのままのしっぺ返しを喰らう。
 ヒーローでもアイドルでも神様でもなんでもいいが、目に見えないものが人の心の支えになることもあれば、逆にそれが心のバランスを崩す凶器にもなり得る。今回羽佐間は灰司という存在を通して、自らの正義と表裏一体を為す悪の存在を自覚した。
 ヒーローの自己言及として、正義で解決できない問題にぶち当たり、さらにはそこに悪さえ見出してしまう。正しさと義理人情の狭間で泳ぎもがく彼は一体どうするのか?、といった所で次回のタイトルが「愛をおしえて」ですよ! 戦う力が「正義」だとするならば、癒す力は「愛」。両方兼ね備えて、今度こそ本当のヒーローになるのか? オラ、ワクワクしてきたぞ!
 思えば、前回から羽佐間が「誰とくっつくのか」という話を振られたのも愛を問う展開の布石だったのかも。
 
 ハチャメチャなようでいて、どこまでも計算された構成。
 ストイックなまでにヒーローの実像を掘り出していく作劇。
 この古典のツギハギにして唯一無二のメタフィクションも残り2話。

 心に揺れ続ける 不確かな迷いなら 愛愛愛に撃たれてバイバイバイ!
 

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