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輪るピングドラム

輪るピングドラム 最終話 「愛してる」 感想

感謝するぜ ピンドラと出会えた これまでの全てに!!!


よかった、よかったよーー! 俺のつまらない予想なんて軽々と超えて、この激動の時代に生きる人々にシンプルで力強いメッセージを残してくれた。最高のクリスマスプレゼントだよこれ。

企鵝=飢餓とこう繋げてきたのはさすがとしか言い様がない。晶馬と冠葉は愛に飢えて自意識の箱の中に閉じ込められた子供だった。だから彼らのアバターはペンギンだったんだ。飛べない鳥で、きっと何者にもなれない子供たち。(ちなみに眞悧の分身のウサギも数え方が○○羽で飛べない鳥)

傷付き、真っ赤な血を流しながら今までの思い出を、冠葉が与えてくれた果実を思い起こし、晶馬と陽鞠は冠葉を見付ける。冠葉が今まで彼らのために燃やしてきた蠍の火。ずっと苦しみ続けてきた本当の彼を、二人はしっかりと抱きしめる。たとえ本当の家族でも、兄妹じゃなくたっていい。ずっと一緒に生きてきたから、だから三人の絆は本物なのだ。それだけは、愛し合った想いだけは運命が変わったって誰にも消せない。

運命の果実を分け合った三人。果実を与えられた人が、今度は果実を与える人になる。この愛の連鎖こそが負の連鎖を断ち切る唯一の方法。輪るピングドラムなのだ。

そしてその輪の中に自然に聖母のような慈愛の心で溶け込んで行った苹果。彼女の愛は、家族という箱の中で凍っていた晶馬の心を溶かす。
彼女が無償の愛を手に入れるまでの過程を丹念に描いたからこそ苹果の強さに説得力が生まれる。
晶馬と苹果は恋人関係をすっ飛ばして伴侶みたいな間柄になったなあ。
「愛してる」の言葉を残して燃えていく晶馬のシーンは反則だよ。

運命を乗り換える場面の映像はもはや言語化不可能。ただただ圧倒されっぱなしだった。

眞悧と桃果。この二人は世界が構造的に孕んでいる呪いと救いそのもの。眞悧はまた同じことが起こると思ってるようだけど、呪いに打ち勝つ少年たちの運命を見届けた桃果は先へ進む。このアニメが示した結論は、そのまま現代の人間が世界の呪いに対抗する術になっていると思う。

そして何よりも真砂子ですよ!
冠葉に愛された記憶が残ってるなんて、まさに愛による死を選んだ者へのご褒美だなぁ。最後の最後で彼女の素敵な笑顔が見られて良かった。リリィ先生最高のエンドカードをありがとう。

いやぁ、運命の乗り換えをして丸く収まると思えないなんて書いたが、本当にそれで皆に救済を与えるなんて離れ業をやってのけるとは思わなかった。予想の斜め上にも程がある。

これからゆっくり時間を掛けてじっくりこの作品を咀嚼していきたいと思う。まだまだ書きたいこともあるしね。

最後に、幾原監督、スタッフやキャストの皆さん、この作品に関わる全ての人たち、そしてこの記事を読んでくれた皆様へ――

ありがとう!


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Comment

こんにちは。固茹で妹の記事にコメントさせていただいたものです。
ピングドラム最終回、素晴らしかったです。愛されること、受け取った愛を与え繋いでゆくことをこうもてらいなくぶつけてくるとは。
色々細部を見ていけば深く掘り下げていけるのでしょうが、いかんせんそれどころではなくw
リアルタイムでは眠気と寒気のせいでぼけ気味だった頭をリフレッシュして、考察も多少仕入れてもう一回見直したら・・・。
涙腺崩壊、いや顔面崩壊しました。もうキモイレベルで。
差し出された半分のりんご。それだけでもう駄目でした。あとは泣きっぱなし。何かがダイレクトに突き刺さってしまったようでした。
基本的に「自己犠牲?ケッ」という人間なんですが、冠葉と晶馬のそれはなんというか、切実さが全然違うように思えてならないんですよね。
あと、何気に多蕗とゆりの夫婦が愛を育んでゆこうと決意するところもヤバかったです、というかBパート全部ヤバい!
今も多少勢いで書いてます。考えなんかまとまりませんよ。
とにかく、このアニメに関わったすべての人にありがとう、と伝えたいです。



しかしラストでピングドラムが映ってまた決壊→「ピングウェ〜〜ブ」…。
おのれ眞悧……ただでは転ばんということか……。

追記

なんであんなに泣いたのかと考えたら、多分現実で最近思い当たることが結構あったからなんじゃないかと思いました。
作品中みたいにヘヴィじゃないですけど。刺さる人にはこの上なく刺さるアニメだと思います。

>ただの通りすがりさん
コメント感謝です!

>基本的に「自己犠牲?ケッ」という人間なんですが、冠葉と晶馬のそれはなんというか、切実さが全然違うように思えてならないんですよね。

ちょっとこの愛と自己犠牲については私としても思うところがあるので、ある程度考えがまとまったら記事を書くつもりです。正直ずっと脳内で思考が堂々巡りをしていて頭痛いのでどうしてくれるんだと思ってます(笑)

>あと、何気に多蕗とゆりの夫婦が愛を育んでゆこうと決意するところもヤバかったです、というかBパート全部ヤバい!

ああ、記事には書き損ねましたがゆりさんも実にファビュラスでいい女でしたね。若者たちだけでなく大人であるあの夫妻の決意を見せたのはこの作品の良心だと思ってます。

>しかしラストでピングドラムが映ってまた決壊→「ピングウェ〜〜ブ」…。
おのれ眞悧……ただでは転ばんということか……。

CM突入直後の眞悧先生には軽く殺意が湧きました(笑) 録画のCMをカットする方法があれば教えて下さい(切実)

>なんであんなに泣いたのかと考えたら、多分現実で最近思い当たることが結構あったからなんじゃないかと思いました。

愛された確かな記憶があるんですね、羨ましい…。私も記憶を辿って確かな愛を探すことにします。メリークリスマス。

初コメ

 はじめまして。
 ブログのあしあとから辿ってきました。
 ちらっとでも目を通して頂いてありがとうございます。

 いやー、『ピンドラ』最終話、泣かされました。
 初っ端からうるうるしてましたが、晶馬の最後の科白で、一気に涙腺破られてしまいました。
 ほんと、あのシーンは反則ですね。

 まず作り手の伝えたいメッセージがあって、そこから逆算してキャラクターや表現をつくっていって、結果的にはそれが難解だったり意味不明に映るけど、最後には全て意味をもって胸を打つ・・・

 アートってこういうもんだよねって思わされる、2011年最上級の芸術的アニメだったと思います。

>江楠さん

はじめまして。コメントありがとうございます。

>ブログのあしあとから辿ってきました。
 ちらっとでも目を通して頂いてありがとうございます。

どのルートでたどり着いたのか忘れましたが、2011年のアニメ10選を見させていただきました。UN-GOとネウロの繋がりは思わずうんうんと頷きましたよ(笑) ネウロの成長譚は私も大好きです。UN-GOも結論が良かった! 映画もそのうち見たいです。

>まず作り手の伝えたいメッセージがあって、そこから逆算してキャラクターや表現をつくっていって、結果的にはそれが難解だったり意味不明に映るけど、最後には全て意味をもって胸を打つ・・・

そのメッセージ、テーマというものが必ずしも理屈で考えられていないからこそ、ああいう表現や演出になったのかなと思ったりもします。感覚的に物事を捉えているような…何言ってるのかわからないですが(笑)

>アートってこういうもんだよねって思わされる、2011年最上級の芸術的アニメだったと思います。

芸術的評価は私にはできませんが、アニメでしかできない表現をやってくれるから幾原監督は大好きです。
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