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キャプテン・アース

キャプテン・アース 8話 「その作印に気付く夜」 感想

 確かに世界は面白い。


 前回で序章が終わり、物語は新たな章へ。
 宇宙から地上へ、あるいは種子島から東京へ、と舞台もあからさまに変わり、前回までとは違うアプローチをしていくことを示した回だったように思う。
 マシングッドフェローをしばらく使えなくなったアマラとモコが、残りの5人のキルトガングを目覚めさせる方向性へシフトし、今回はその一人であるジンを中心としたエピソードが描かれた。単純に考えると、第2部はキルトガング側にスポットライトを当てて1話一人ずつ登場させていく形かなー。まあキルトガング中心、といっても当然主人公組と対比させる形でテーマを掘り下げていく作劇になっているんだけど。この話は一端置いておく。
 
 前回までとは明確に変わった、といえばやはりロボット戦。動きが鈍重で、一方的に敵にやられ続け、爽快感に欠けた宇宙での戦いぶりとは逆。敵の攻撃を避け、銃を構えて撃つ。シンプルな動作が一々スタイリッシュで、ロボ作画も相まって超カッコイイ。
 この見せ方の違いが、多分それぞれの章のテーマ性にも繋がってるんだよね。第1部では明日の切実さ、それを掴むための決断の重さを描き、だからこそエンタメ性に拠らずにドラマ性に重きを置いたバトルシークエンスになっていた。
 第2部に関してはまだ始まったばかりでなんとも言えないのだけど、宇宙では地球人側が耐え忍ぶ戦いをしていたのに対して、地上では逆にキルトガング側は数分を凌ぎ切る戦いをしなければならない、という構造になってるのかもしれない。とすれば、やはり問われるのはリビドーに忠実なキルトガングの生き方なんだろうなー。
 
 サブタイトルの作印とは、キルトガングが手の平に浮かべる円形のサインのこと。
 で、今回はこの「手の平」というモチーフが強調される画作りで、人類の未来がその手中にあると固く信じる久部社長、手の平に浮かべてきた自身の黄金期の象徴でもある虹を失ったテッペイ、そして全て横から掠め取られてきたジンが始めて手にした特別の証、と様々な形で提示される。しかしながら、真に物語の登場人物たちを手の平で転がしている存在は絵的にもその手の内を見せることがない。キルトガングに情報提供するパック、Globeに予知を指し示すピッツ。それぞれの勢力の方針を決定しているのは物語の狂言回したる彼らであり、しかもその事実に誰も気が付いていないという状況。キルトガングは未だ選ばれた存在である自らの主導権を妄信しているし、Globeの大人たちは頑なにハナの力だとピッツの特異性を認識しない。自分の優位を疑わない、あるいは自分の意志で歩いている連中が、実は誰かの手の平の上で転がされているというこの構図。これが、4話でも書いたけどキルトガングと人間の『喰う者喰われる者』という対立構図の延長線上にある実社会のメタファー、という構造にも繋がるというね。本当にモチーフ、設定とテーマを二重三重に絡めるのが抜群に上手い。
 その『喰う者喰われる者』ってのは、まさに今回登場したジンの人生を象徴するワードにもなるわけだ。自身が持つ才能、それによって手に出来たはずのものが、誰かに奪われ何も残らない。面白くない人生。同級生の一瞬の煌きを映した写真も奪われ、カジノで見せる不思議な力を利用して儲けようとする輩が現れる。自分の才能を他者に掠め取られてきたジンだからこそ、その抑圧から解放される=本当の自分になれるキルトガングの快楽には抗えない。自分の思うがままに振舞えるという万能感が、ある意味抑圧された社会への抵抗としても描かれているわけだ。まあキルトガングになっても実は誰かに踊らされているのは変わらない、という構図が付いて回るのがこの作品のイヤらしいところでありそう簡単に肯定も否定もしない誠実さの表れでもあるのだけど。

 そしてそんなジンバルドの覚醒を描いたからこそ、テッペイの逡巡が際立つ。
 前回キルトガングとしての永遠の生命を捨てて、有限の生命を持つ人間に生まれ変わったテッペイ。しかしその決断に伴う代償として、彼は自らの力の象徴でありダイチのブーメランに対応する唯一の特性であった『虹』を失う。つまりは、自らが今まで振るってきた万能感を失ったということで、それが「今の自分には何もできない」という事態に繋がる。代わりに手にしたのがライブラスターなんだけど、まだ彼が撃てるかどうか分からないんだよね。機会がなかっただけなのか、決断をするだけじゃ足りないのか、それはこの先描かれると思うけど、ただ人間として生きる決断をそのまま肯定せず、そこから先どうするの?って問いを発してくれたのは素直に嬉しい。テッペイの場合、生まれ持った特質ではなく自分自身の力で掴み取れる何かをいかに手にするか、って話になるのかなー。

抑圧から脱却して終わりじゃないし、自らの意志で居場所を選んでも終わりじゃなく、むしろ始まりはそこからなのだと言わんばかりのこの新展開。そして決断と欲望の物語はまだまだ続く。


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