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キャプテン・アース

キャプテン・アース 9話 「魔法少女アカリちゃん」 感想

 たかが宇宙人ごときが、魔法少女をナメてんじゃねぇ!
 大方の予想通り、1話に1人遊星歯車装置のメンバーを覚醒させ、後半でキルトガングになろうとする彼らをダイチたちが止める、というフォーマットがこの第2章の基本構造になりそうだ。
 一方で前回とまったく同じ流れだったかというと全然そうではなく、今回登場したアイの描写はそこそこにサブタイ通りアカリの人物描写が掘り下げられるようなエピソードになっている。というかむしろ、アイの覚醒シークエンスはアカリとの対比のためにあったと言ってもいい。

 アイとアカリの対比、たとえば『アイドル』と『魔法少女』という偶像を名乗っているところとか、一人になるのを恐れるアイと一人になりたがるアカリとかがあるのだけど、今回のエピソード全体にも影響するのはやはり『自信』かな。
 アイはアイドルとしては新宿でPVが流れる程度には有名なかなり成功している部類なんだけど、本人は引っ込み思案気味で自信がない。ファンに嫌われることを恐れて、ステージに立つことにすら弱気になる。
 それがキルトガングに覚醒すると一変して自信に漲るというかアッパーな感じになるんだけど、彼女が身につけた自信は彼女自身のものではなくキルトガングの優越感でしかなくて、他人に与えられただけの欠陥品なんだよね。ジンもそうだったけど「欲望を解放して本当の自分になる」と言えば聞こえはいいけど、それで描かれる人格はどこか画一的で底が浅いんだよね。もちろんそう描いてあるように見えると言っているだけで批判ではない。
 キルトガングの自信は傲慢でしかないから、いつも油断して人間にやられる。今回は露骨に獲物を前に舌なめずりのカットが挟まれたりして、未だキルトガングらが人間を捕食対象としか見れてないことが分かる。ただ、この構図が第2章においては見事に逆転されていて、徐々にキルトガング側にもその事実が浸透しつつあるという構成でこれがまた面白いのだけどその話は後に回す。

 与えられた自信を振りかざすキルトガングとは対照的に、キルトガングとしてのパーソナリティを失ったから自信となるものを何も持たないテッペイの描写は今回も分かりやすく反復して描かれる。彼が今何もできないのは、「ただの人間」になったばかりで自分から出来ることを見つけなければいけない。自信とは本来そうやって身に着けていくものなんだけど、彼の周りには既にそれを持っている人たちがいるからなお焦る。
 たとえばダイチにはいつだって何かしらの根拠のない確信めいたものがあって、それがライブラスターの力に繋がっているはず。キャプテンと呼ばれることに対してくどいほど繰り返す「それ定着~?」のやり取りは、日常生活において彼がキャプテンと呼ばれるのに馴染まないという描写だけど、一度戦闘待機状態に入ればキャプテンと呼ばれても何も言わない。すなわち自覚と自信があるということ。
 ハナに関して言えば、彼女の自信はいつも他人に対して言及する際に発揮されている。今回の「アカリは自分に仕事があればちゃんとやる」「キャプテンは届く」という言葉には確かな確信があるし、テッペイに対しても第5話で「(敵になるとは)思わなかった」と笑顔で言い放つ場面があった。仲間に対する無償の信頼。

 そしてやっと今回の主役であるアカリの話に。
 戦闘能力も持たないのに、「自分の身は自分で守れる」という言葉通り、自らの腕と知恵と度胸でたった一人窮地を乗り切って見せた彼女。特筆すべきは人類を盾に取りキルトガングを前にひるまないその胆力。他人から与えられた力でも、不思議な能力を持っているわけでもない、彼女だけが自分自身で身に付けた力で他者と渡り合っている。
 以前は彼女だけが『特別な力を持ってないから』テッペイを焚き付けることでしかダイチを助けられなかったと書いたけど、今回においてその構造は逆転し彼女だけが自らが培ったスキルに立脚しているから誰よりも強い、という側面が描かれた。そして前述した通り、構造的逆転といえば捕食者たるキルトガングが逆に狩られる側になった、というのが描かれており、7話までの序章で描いた物語構造を様々な形で逆転させるかのようなアプローチが見られる。
 前回の感想でも書いたけど、序章での宇宙の戦いにおいては人間がキルトガングを地球に辿り着かせないために耐え忍ぶ戦いだったのが、2章での地上戦では逆にキルトガング側が3分59秒を凌がなければいけない、という構図に。地球を狩るために宇宙を駆っていたキルトガングが、今度はダイチたちに首を狩られる側に回る。だのに、未だ自分たちが上位の捕食者であると自惚れているからキルトガング。
 宇宙は彼らの庭だったが、地球は人間たちの領域。アカリに弱みを握られたアマラたちは何もできず、立場上の優位はあっという間に覆された。
 アカリがキルトガングを脅迫した内容にもまた、構造的逆転が含まれてますね。無限の時を生きるが故に、有限の時を生きる人間たちを見下すキルトガング。それが今、人間たちの明日が彼らの生を左右する状態にまで陥ってしまっている。永遠の生命を持つがために待つことに耐え切れず、たった2週間の修理期間にもしびれを切らし、たった3分59秒を守る戦いを強いられている。彼らの中で、有限と無限の価値が逆転する。だからこそ、いつだって一分一秒を生きてきた人間たちには叶わない。
 戦う舞台、シチュエーションを変えただけでこんなに鮮やかに物語構造を変動させてくる作劇、圧巻と言う他ない。

 話を戻して、アカリについて。
 彼女の自信・プライドの全てが掛かっているのが、あの『魔法少女』という言霊。
 まさかこの期に及んで彼女が伊達や酔狂で魔法少女を名乗ってると思ってる人はいないと思うけど(煽り)、要はどれだけの想いと覚悟がその名に込められてるかってことですよ。
 アカリの魔法とは、とりあえず直接的にはチート級のハッキング技術を指していて、高レベルのハッカーを『ウィザード』と呼ぶことから魔法少女という名称に発展しているわけだけど、じゃあ彼女はその魔法で何を叶えたいの?、という疑問が当然出てくるわけだ。
 彼女は自分の望みを言わない。本心だってどこまで言ってるのかは分からない。父親である西久保も否定した核ですら駆け引きに使い、『魔法少女』をバカにする宇宙人に怒りを込めた語気と表情で啖呵を切って見せる、それらの表情を普段の日常で見せることがない。
 「テッペイ『は』素直でいい子だ」ってセリフ、ちょっと穿ってみれば「自分はそうじゃない」とも取れるわけですよね。
 で、素直じゃないアカリの望みを考えてみると、やっぱり今の所思いつくのは両親のことくらいしかないわけだ。そもそも1話の時点でキルトガングの存在もアースエンジンの存在も知っていて、Globeの技術主任ピーターとコンタクトを取っていた。それは何故かといったら、両親がそこにいるから。それどころか、機密に近い位置にいる彼らのことを知るためにハッキングのスキルを研鑽してきた、とすら考えられるわけで、そう考えると彼女の願いは一つ。「Globeの仕事から両親を解放して家に帰すこと」とか、そんな感じになるよねっていう話。切実なまでの願いが彼女の魔法には込められているからこそ、それは宇宙人ごときが嗤っていいものではない。
 実際にアカリは自らのスキルのみによって、父親と再び一緒の家に住み、宇宙にいる母とも会い、ついでに今までいなかった友達も作ることができた。なんでも叶えるその力はまさに彼女にとっての魔法。自らの力で望む明日を掴み取ってきた、『魔法少女』という名は彼女の誇りであり生き方そのものだ。
 アカリを見ていると心が震える。大好きです。


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