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キャプテン・アース

キャプテン・アース 13話 「バクの街」 感想

 お願いバク。私をこの悪夢から、解放して。
 
 この世界が少年少女たちの目にどう映っているか。
 麻野田クミコにとっては、自身を取り巻く世界は悪夢でしかなかった。父親が非合法な商売を生業とするヤクザであること。そして自分も過去に「子供を買ってしまった」こと。だから彼女は自分ごと世界を破壊する道を選んだのだ。
 しかし目覚めた後に広がっているのは、何も変わらない麻野田組の姿。仮初の永遠は、魂の牢獄でしかなかった。

 露骨にエグイのは、このタイミングでテッペイのライブラスターDCがドリームキャッチャーの略称であることを明す点。「悪夢だけを取り除く」おまじないの名を冠するライブラスターを手にしたことで、テッペイは与えられたアイデンティティからの脱却を果たし自身の力で居場所を得ることに成功した。悪い夢を見なくなったのだ。
 描かれたバクとクミコの過去。バクが自らのシンギュラリティをクミコに見せることで得がたい絆を手にしたシーンは、まんまテッペイとダイチの関係の反復で、しかしいくつもの罪と業に縛られた二人には破滅の運命しか待っていなかった。
 
 明暗を分けたのがどこか、まだはっきりとは理解してないけど対比として印象的だったのはやはり「手の中」。
 バクのシンギュラリティである「壊れたものを再生する」力は対象を両の手の平に押し込めることで発動するハガレン的な絵面によって行使される。ボンズだし。
 手の中に、というモチーフは本作において繰り返し描かれていて、ライブラスターは「いつの間にか手に握られている」ガジェットだし、久部社長は人類の命運をその手に握っているつもりでいる。テッペイは手の平から虹を作り出すシンギュラリティを持っていたし、ダイチのブーメランは手を離れまた手の中に戻ってくるモチーフ、遊星歯車装置のサインもその手の上に浮かび上がるものだ。
 そして今回明かされた(というかずっと描かれてたけど今回説明された)ダイチとライブラスターの関係性。拳銃を撃ってもなかなか的に当たらないのに、ライブラスターを撃つと吸い込まれるように目標を貫く。これがダイチのシンギュラリティとも関係していて、直感的に自分のやるべき事を理解し、行動に移す。決断によって正しい答を選び取っていく力が彼にあることがこれまでの物語で示され続けていた。今回印象的だったのが地下闘技場でダイチとバクがすれ違うシーンで、ずっとフードで隠されていたバクの素顔が「何故か」晒される。そしてその後の問答で彼の強さの原点が端的に示されるのだ。本質を見抜いてしまうダイチの力がここで働いたのだと言えるだろう。
 自身の延長としてライブラスターを扱うダイチと、全てを自分の手中に押し込もうとする遊星歯車装置の対比が、両者の世界への目線の違いに繋がってると思うんだけど、この辺はまだ上手く言語化できるほどまとまってないのでしばらく保留にしときます。

 ピンポイントで本質を貫くダイチに対して、バクは狙った対象だけを復活させるような器用な真似ができない。だからこそ、クミコを蘇らせるために彼女にとっての悪夢をも復元してしまった。
 なぜこんな違いが、というのを考えると、浮かぶのは『希望』というキーワード。
希望とは、明日が今日よりも素晴らしいと信じられること。真夏タイヨウは「希望は決断によってしか生まれない」と言ったが、バクとクミコの決断は希望には繋がらなかった。なぜなら彼らには素晴らしい未来への展望がなく、それぞれ現状の維持と現状の破壊だけを切望していたからだ。
 明日を迎えるために夜を守るミッドサマーズナイツとの決定的な違いは、未来を見据えているかどうかという、その一点がかなりのウエイトを占めている重要なファクターなのではないかと思う。
 それは環境や資質に大きく左右されうる要素で、バクはキルトガングとしてクミコと同じく破滅願望に目覚めるしかなかった。覚醒する前から永遠の空虚さを実感してしまっていたバクのエピソードは、これまでそれとなく描かれていた遊星歯車装置の持つ万能感が逃避に過ぎないことを暴いてしまっていて、第2部の締めとして相応しいエピソードだったのではないかと思う(あれ、次から新章だよね?)。それでもそう生きるしかなかった彼らに救いの道があるかどうかは、死に際のクミコのセリフが示唆してるんじゃないかな。
 永遠の生命を有するがために明日に価値が見出せない彼らが、どのようにして希望を持つに至るのか。『本当の光』という言葉はピンドラ最終回を思い出すんだけど、五十嵐×榎戸コンビのそれがどんな形で提示されるのか楽しみだ。


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