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キャプテン・アース

キャプテン・アース 18話 「荒野の猛襲」 感想

 僕は英雄なんかじゃない。

 まずは天海道。アカリの母、ツバキとハナの会話シーン。
 アカリが自ら友達を作ったのは初めてだとツバキは話す。アカリがミッドサマーズ結成以前に友達がいなかったことは、8話のジンとの会話が分かりやすいけど、これまでの描写を見ていても何となく察することができるファクターですね。
 親らしいことが何も出来ていない自分は、もうアカリには必要ではないのではないかと不安を覗かせるツバキだが、アカリの両親への想いはこれまた直接口には出されていないけれど分かるように物語が構成されている。互いを想い合ってはいるけれど、微妙にすれ違って相手には伝わってない夜祭親子の関係は5話で既に描かれてるもので、その延長線上にあるのが今回のやりとりですね。
 親のいないハナが母性に憧れるように、ツバキもまた『母親としての振る舞い』にある種の憧憬を抱いているように見える。母でありながら、母性を発揮する機会に恵まれなかった女性の表情が素敵だったなー。
 
 そしてツバキとの会話を経て、妙に『家族』というものに興味津々になるハナ。これはあれですね、彼女自身が家族を作りたいと思い始めてる兆候。それを為すにはダイチと結ばれて子供を作るしかないんだけど、『普通の人間』ではない『一夏の物語』を共にする彼らがこの先いつまで一緒にいられるか分からないのがね、悲観的な予感しかなくて勝手に切なさに酔いしれてますよ。で、次回は彼女がアレする話でしょ。絶対泣いちゃう。

 
 気を取り直して、次はパック。
 社内の女に片っ端から手を出してヒトミちゃんにフラれたという久部パック。おそらくは物語の始まりから全てを画策し、裏で意図を引いてきたであろうパックにとっての始めての計算外をもたらしたのが文字通り身から出た錆である、というこの皮肉な展開。
 世界最高の人工知能が肉体を得たことでやることが性のリビドーの発露、というのはどういうことなんだろうなー。AI特有の極端思考で生殖に振り切れてるのかもしれないし、あるいは心無き知能はリビドーに抗えないということかもしれない。何にせよ、パックと久部パックの対話が楽しみである。

 
 そしてダイチね。
 彼の胸に引っかかっているのは天海道で邂逅を果たした箱舟派のカニスの言葉。曰くダイチの手は「運命に選ばれた英雄の手」だと。彼はダイチに握手を求める。
 どこまでも『手』をフューチャーするその作品。選ばれし者だと称されたダイチが、逆に凡庸さを見せるのが今回のエピソードですね。
 銃の腕が芳しくないのは今まで描かれてきた通りだし、今回のライブラスターの出力を計るテストでもテッペイ以下の成績しか残せないダイチ。
 さらに、箱舟派の謀略によって不時着したオーストラリアの一連の襲撃では、冷静に敵の目的を分析するテッペイと鋭敏に敵の攻撃を察知するハナの姿が描かれる一方で、常に後手に回っている様も描かれた。Globeでずっと訓練していたのだから当り前だけれど、戦士としてはテッペイとハナの方がずっと優秀だ。
 ミッドサマーズナイツ恒例の食事シーンでは、モテるテッペイに軽い嫉妬を示したりと、他のメンバーに比べてパッとしないダイチの実像を浮かび上がらせている。本人が言う様に、彼は『英雄』などではないのだ。
 しかしダイチはキャプテンだ。彼は選ばれたのではなく、自ら選び掴み取ることができる人間。このニュアンスの違いはこれまでの物語を通してずっと描かれてきたことで、それがこうして言語化されたことでいよいよ佳境に入ったのだと感じますね。
 『選ばれた』というのはつまり受動態で、カニスが言う様に偶然力を得たに過ぎない状態。これ、キルトガングとしての自我に「目覚めさせられた」デザイナーズチャイルドにまんま当て嵌まるんですよね。彼らは選ばれし者で、だからこその選民思想を持っている。そしてそれこそが、遊星歯車装置がライブラスターを撃てない理由だ。
 自らの選択と決断によって生まれる希望、それがライブラスターのエネルギーとなる。そのトリガーは、伸ばした手の先に現れるものだ。テッペイもハナも、希望を力に変える術を身に付けたのだけど、それはダイチの存在があってこそなんですね。自然とそれを体現できるから彼がキャプテンなのだし、今回自分たちを取り囲む無人戦車を一掃したように円の中心で回転する物語の一本の軸がダイチ。テッペイの「敵わないな」というセリフは、悲観的な状況でも希望に手を伸ばすことができる彼の在り方に対するもの。賞賛と少しの羨望が含まれた語調がまたいいですね。

 「選ばれた」と「選び取る」という、受動からの能動を志した人物としては久部社長がいますね。彼は神田社長の死によって『偶然』マクベスエンタープライズを手に入れた、パックに傀儡として選ばれた存在。そんな彼は、マクベス革命と称する計画で『選ぶ』側に収まろうと画策していたのだけど、結果はご覧の通り。選ばれし者という自覚は、他者に付け入る隙を与えるだけの傲慢にしかならない。それはおそらくパックでさえも同じ事で、自意識に囚われている限りメビウスの輪のように喰って喰われての連環構造は続くんだろうな。それもまた魂の牢獄か。

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