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キャプテン・アース

キャプテン・アース 21話 「キャプテンの条件」 感想

 私、このPVの頑張ってる感じ、結構好きかも。

  前回は正直なんで今更再登場したのか分からなかった広末もちゃんといつもの対比構造に組み込まれていて、さらにはクライマックスの立役者にまで仕立て上げられてるのだからさすがとしか。西園寺なんて呼んでゴメンよ、広末。

 まずはいつぞやの喫茶店でのんきにお茶をしてる遊星歯車装置の面々から。
 ここで注目すべきはアマラにそっぽを向く形で(笑)アイのPVを見てるモコですね。
 この頑張ってる感じが好きだと、さらりと言う彼女ですが、このPVがアイの覚醒前に作られたものであると考えると、今までのモコの描写から一貫される彼女の変化が伺いしれます。
 遊星歯車装置から見れば愚かで儚い、不完全な生命に過ぎないはずの人間の「頑張り」に対し素直な好感を示す。モコは当初から自分たちには感じることのできない「風」というキーワードに興味を持ち、アバターである人間としての自身の肉体が好きで、そしてアマラに対して人間としてのリビドーを求める。思えば2話からアマラとのキスで顔を赤らめていたのも、これらの延長線上にある描写だったんだなぁ。
 アイにしても、遊星歯車装置としての仕事はこなしつつも、アイドル活動を本気で楽しんでいる様子が窺える。前回彼女が語ったアイドルとしての悩みも、アイとしての彼女が元々持っていた本音だろうし、キルトガングとして覚醒した今だからこそ人間だった頃にやりたかった事が思う存分できる、という面もあるんだろうな。とりあえずグラサン掛けてひたすらパンケーキ食ってるアイが可愛かったです。

 さて、そんな遊星歯車装置の目的は普通にブルーメの、というか天海道の破壊テロでした。ジンのシンギュラリティを借りて(ここのギミックが分からん)アイが攻撃を仕掛ける、その手段はなんとデブリ。
 無人戦車、無人ロボットときて今度はメカですらない、デブリと戦うロボットアニメ。どこまでも常道を外しに掛かる作品ですねー、そういうの大好きです。今回の相手は遊星歯車装置とは言え、デブリは人間の業の産物ですしね。明確に人を殺す道具として作り出された戦車とは違い、宇宙開発(=人類の進歩)の過程で生み出されたデブリはより純粋に人の原罪を象徴するモチーフと言えるかもしれません。
 というか、宇宙でのデブリ攻撃は普通にシャレにならんですしテロが目的なら合理的極まりないですね。ロボット兵器の運用がいかに非現実的かつ非効率なのかよく分かります。

 
 そんな遊星歯車装置の脅威に晒されたことで、対立状態にあった迎撃派ダイチと箱舟派広末の人類を救うため戦う存在としての在り方が相対化されることになりました。
 広末は箱舟派としての理想をわりと素直に殉じているようで、幹部のような偏った選民思想は見られない。キヴォトス計画に人類の希望を託し、本気で命を賭けている姿は正直言って意外でした。そもそも広末はCVが西園寺の草尾さんだったのもあり、ハナに執着してるストーカー気質の男という印象が強過ぎて箱舟派の尖兵としての認識が薄かったのはあります。考えてみれば、ハナと出会うよりもソルティドッグに入る方が先でしょうし、彼女に拘っていたのも女性としてではなく計画に必須の「道具」として見ていたからでしょうね。偏執的であれど生真面目っぽくもあるので思想的には純粋な人間だというのには納得です。
 
 今回広末をあえて持ち出してきたのは、彼が迎撃派とは手段こそ違えど、キルトガングの脅威に憂慮し行動する人間だからですね。選民思想や私利私欲が薄いからこそ、ダイチたちとの対比になる。さらには、6話のエピソードで早々にダイチの「人を撃つ覚悟」を問うた人物でもあり、今回のエピソードに繋がってますね。あの時ダイチはライブラスターの代わりにブーメランを投げた。まあ、これはダイチが変わったというよりは、「そうすべき場面じゃなかったから撃たなかった」のだと思いますが。
 『覚悟』というのが今回のキーポイント。広末がダイチを「覚悟のない奴」と断じるのは6話で自分を撃たなかったから。対する自分は自身の命を起爆装置とし、さらには今キヴォトス内で眠っている子供たちの犠牲すら厭わないと語り、その覚悟を誇示して見せる。
 明確に対比されるダイチと広末だけでなく、ミッドサマーズナイツのメンバーそれぞれにも覚悟に繋がりそうな描写がありますね。
 まずアカリ。多過ぎるデブリを防ぐにはブーステットプラズマグナムを使用するしかない。そしてそれがテッペイの死を意味する事まで一瞬で判断しながらも(表情の細かい変化から内心の葛藤が読み取れる)あくまでダイチへの指示は冷静かつ的確に行なう彼女。前回ようやく心を通じ合わせた少年の命を奪うような作戦を一瞬で立案し提案する。賢すぎる彼女だからこその決断と覚悟。さすがです。
 次にハナ。ダイチに絶対の信頼を寄せる彼女。だからこそ彼がテッペイをも撃つだろうことを確信し、全部見届けようとでもいうかのようなじっと画面に向かう彼女の表情は真剣そのもの。
 渦中にいるテッペイもまた、自分を巻き込んででもダイチに自身を撃つように叫ぶ。通信が途絶えているからダイチには聞こえてないのですが、むしろ自分に言い聞かせるように叫んでいたのではないかと穿っています。無理矢理に覚悟するため的な。
 そしてダイチ。自らの手で引き鉄を引く。仲間であり親友でもある少年を撃つ。泣くでもなく、叫ぶでもなく、ただ静かに心を落ち着かせようとする息遣い。その覚悟がどういった性質のものだったかは、やはり他キャラとの比較なしには語れません。

 ある意味で、近い性質の覚悟を持っていたのは広末とテッペイ。
 ライブラスターDCがリーバンのシンギュラリティを記憶してコピーしたのかは知りませんが、異空間に退避したことで難を逃れたテッペイとネビュラエンジン。死ぬ死なないのエンタメ目線で見ればこれはご都合主義だしそれは否定しませんが、目線を変えればちゃんと意図があるのが分かるシーンです。
 ライブラスターは手足つまりは自己の延長線状にあるガジェットです。科学部長によれば、「ライブラスターに射手が使われている」側面もあるらしい。この点を踏まえてみると、今回テッペイが助かったのはライブラスターが彼自身の言葉とは裏腹な「死にたくない」「生き残りたい」というリビドーを汲み取ったからであると考えられます。
 この、覚悟の裏に潜む抑圧された願望というのが、今回の広末にも当て嵌まる。
 彼が遂行しようとするキヴォトス計画は、地球滅亡を前提とし、選ばれた少数の少年少女に人類の未来を託すもの。地球の未来という観点からすると、言ってしまえば苦し紛れの悪あがきのような計画ですが、縋らざるを得ないからそれを自身のやるべき事として邁進する広末を私は否定できません。
 しかし、そんな彼にだって守りたい家族がいて、そして生まれ育ったあの青い星への想いがある。「本当に救えるのなら」自分だってそうしたい。でも出来ない。だからこそ唯一の手段であるキヴォトス計画を実行するしかない。それは妥協とは言えないけれど、広末の覚悟は本来の願望とは別の方を向いているのは確かで、奇跡でも起きないと叶えられないから現実的な手段に拠るしかないという事情があるわけです。
 そして、今回テッペイを生かしたように、その奇跡を起こせる力がライブラスターである、という構図なんですね。

 「ライブラスターは奇跡を起こす力がある」「ダイチにはそれを撃つ覚悟がある」という2点が、広末がダイチを信用するに至る大雑把なポイントなんですが、じゃあダイチの覚悟は彼と何が違うのか、という話になります。
 広末は作戦のためにキヴォトス計画の子供たちをも巻き込む覚悟を話す過程で、「目的のための犠牲は覚悟の上」と言いました。つまりはここです。誰かを殺すことを、目的のための犠牲として仕方のないことだと言ってしまったのが、ダイチとの決定的な違いです。
 
「僕がこの手で殺すことになると思った……。見殺しじゃない、もし死んでいたら……それは僕が殺したんだ」

 この作品がこれまでずっと描いてきた『決断』という覚悟。テッペイを天海道を救うための犠牲にするのではなく、明確に「殺す」という意識を持って撃つ。レトリック染みてますが、言い訳めいた前者と逃げ場を自ら塞ぐ後者とでは大きな差があります。
 それがどんな結果であれ、行動による結果の責任を背負う。それがキャプテンの条件であり、ダイチの覚悟。行動の前、決断段階での覚悟を描くからこそ、結果がご都合主義になってもそこは焦点にはならないという逆説はちょっとズルいと思わないでもないですが、前述した通りその結果にもちゃんと意味があるので(笑)
 「そうすべきだ」と直感したのならダイチは撃つ。もちろんテッペイを撃つことに逡巡がないはずもなく、天海道に戻った時には明らかにテッペイへの申し訳なさだとか様々な感情を窺わせる表情で彼を見て、何かを言い出そうとしてました。それを知って軽口で気にするなと言わんばかりにダイチをフォローしてくれるテッペイは本当にイイ奴です。
 話を戻して、広末がダイチを大嫌いだというのは甘いことを口にしながら逃げも言い訳もせずに「殺すつもりで撃った」と言い放つ彼の異質さにある種の畏敬と嫉妬を覚えたからでしょうね。それでも、ダイチが決断したからこそ天海道から太陽に照らされる地球(つまりは明日が来た)を展望できる今があることは厳然たる事実。だからこそ、広末が諦めた地球を「もしかしたらコイツなら本当に救ってくれるんじゃないか」という希望が頭をもたげたんですね。
 決断の力と、覚悟の意志。両方を備えたダイチという人物だからこそ、地球の命運を託すことができる。地球を背負うキャプテン、『キャプテン・アース』と広末が呼ぶラストシーンに向けて静かな盛り上がりを見せるシークエンスがたまりませんでした。

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アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


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