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The Princess of Tennis

『テニプリンセス』のススメ 黒帝戦が死ぬほど面白い

 誰が読むんだって感じですが、今やっている黒帝戦というエピソードがまぢやばなのでいても立っても。


 一応年末に書いた記事でも紹介はしたのですが、Pixiv及びニコニコ静画で連載中のモバマス×テニスの王子様の二次創作WEB漫画となります。
 元ネタ有りでオマージュはもちろん原作まんまの部分もちらほら見受けられる作品なのに溢れ出るオリジナリティ、登場人物は女性オンリーなのにどこからどう見ても少年漫画(私の定義上)。といった具合のなかなか凄まじい作品。
テニス漫画といっても『ベイビーステップ』のような地に足の着いた現実的なアプローチから構成されたものではなく、テニプリ寄りの荒唐無稽ないわゆる「テニヌ」を扱っている本作。そもそも作者が厳密なルールよりノリを優先しているので、ガチスポーツ物として読むべきではないというのは一応言っておいた方がいいでしょう。
 この作品が優れているのはむしろバトル物寄りの少年漫画としての資質。テニスというスポーツの媒体は、個人戦でありながらチーム戦でもある。つまり個人が負けても勝ち進むことができ、それにより負けながらも次の戦いに挑まなければならない、という構図を作りやすいのですね。柔道や剣道といった競技でも出来ることではあるのですが、テニスはダブルスというタッグ戦もあることから、また別のアプローチも可能な点に特異性があると思います。ともかく、それを利用して、覚醒や必殺技、精神論などといった少年漫画メソッドをふんだんに使いつつも、あくまで段階的に登場人物たちの成長を描いているのが本作の特徴です。

 それに加え作者ハリアーPの独特の筆致で描かれる活き活きとした登場人物、意欲的な構図、癖になる台詞回しなどなどが魅力のこの作品。もともとハリアーPのファンだったので連載当初から面白く読んではいたのですが、今までは周りが読んでなくてもいいやというノリだったのが、現行エピソードである黒帝戦が物語・絵ともにとんでもない事になってきているので「これは全力で広めなアカン」とやれるだけのことをやりたいという気持ちにさせられました。界隈ではメジャーな作者とはいえ、界隈自体がマイナーですしね。
 全国トップクラス、最強のパワーチームという黒帝学園。設定的にダイナミックな画面になりがちですが、それがハリアーPの作風と非常にマッチしていて相乗効果を発揮しています。加え、ノリ優先かつ派手でありながらも構成そのものは実は結構繊細という氏のもう一つの強みが存分に発揮されていて、結果パないクオリティに。
 ここからは具体的に語っていきたいので、もし未読の方でここまで読んでくださった方がいればなるべく本編を読んだ上でこの下へスクロールしていただければ幸いです。


 
 黒帝戦が素晴らしいのは、1年生や初心者が中心であるため試合を経るごとに段階的に成長していく物語を紡いできた主人公チームである青学側が今までの経験や想いを全力でぶつけていっている点。そして対する黒帝学園は青学側が振り絞る「小細工」の数々を正面から押し潰す問答無用を掲げた全国最強のパワーチームとして、これ以上ないほどの対立軸として機能しています。その上で、各試合ごとの構成と、エピソード全体での構成がそれぞれ綿密に練られているというのがスゴイ。

 まずはダブルス2。
 この試合が両校のスタンスの対比構造を一番端的に表していると思いますが、今まで編み出してきた技を駆使して何とか突破口を開こうとするフェイフェイと、持て余す才能と恵まれたフィジカルと持ち前の根性でラッキーパンチを繰り出していく茜の猛攻を、圧倒的なパワーで捩じ伏せていく久美子・美里ペア。
 そして、あきらめない青学ペアの心が皮肉な形で結実する時、再びフェイフェイの冷徹な強さが発揮され、茜の覚悟が問われ、そして部長の抱える問題が再燃する。フェイフェイの勝負に徹する強さは、勝利のために自分が望むテニスのやり方を捨てることで発揮され、何度か彼女自身が卯月とどちらが強いのかを気にするそぶりを見せたように、大好きなテニスを思いっきり楽しんで自分の信じる道を進み続ける卯月との対比として描かれてるんだけど、それはまた別の話。
 怪我を押して無理矢理試合を続ける久美子を執拗に狙い、数段格上の相手に苦い勝利を収める青学ペア。そこで描かれるのは、「勝つか」「負けるか」という勝負の世界の真理。
 どんな想いがあろうが、どんな過程だろうが、絶対にその二つしかない。
 この黒帝戦では特に、「勝負」という要素に切り込んでいて、黒帝の部長・向井拓海の言動にそれがよく表れています。

 続くダブルス1。
 この試合では一転、黒帝の問答無用な強さが遺憾なく発揮されます。
 今まで足りない物を知恵と作戦と仲間の力で補い勝ち続けていた晶葉。そんな彼女を知略で凌駕する黒帝の参謀・荒木比奈。ウサミンのあきらめない意志もあっさりと捻り潰され、何もできず完封される大敗北を喫します。ハリアーP渾身の筆致と巧みな構成で描かれる比奈・沙季ペアの絶望的な強さの演出はさすが。問答無用で正面から押し潰す、黒帝学園のスタイルがなにも力こそパワーだけで成り立っているわけではないという事を示すのには十分過ぎる試合内容でした。
 ここで重要なのは晶葉の自信が完膚なきまでにへし折られた点。これはおいおい。

 試合はシングルス3へ。
 テニスという題材の採用によって負けたまま勝ち抜けることができる、と書きましたが主人公かな子はまさに「負け続ける」ドラマを背負った登場人物。
 弱い自分を克服するためにチームに入った彼女は、自分一人だけチームの役に立てていない現状を前に、自ら背水の陣を敷きます。
 無我を発動し、必死で相手の弱点を探すかな子。その闘志は拓海も認めるところであり、必死の形相が実にすばら。しかし長尺ラケットを操り今までの選手を越える超パワーを文字通りぶつけてくるふじりなの前にあえなく崩れ落ちます。
 「勝てねェモンは勝てねェ」という拓海の言葉通り、かな子の覚醒も覚悟も決して彼女に都合の良い勝利をもたらしはしない。自分が誰よりも知っているように、彼女は「弱い」から。
 「負けない」と必死に食らい付いてきたかな子が、「勝てない」と悟りあきらめかけた時、聞こえたのは「頑張れ」と応援する卯月の声。ここのかな子の表情がまたね……。
 かつて卯月のターニングポイントとなったフレデリカの言葉がかな子のマスターピースとなり、「負けない」から「勝ちたい」への意識改革を起こす。
 そうすることで初めて、ポイントにはならずともふじりなのラヴぽよ弾をいなす事が出来た、この決まり手が彼女におきた変化を象徴しててホント素晴らしい構成なんですよ。
 そして「さようなら」じゃなく、「もっと強くなってみせるから」と負け続けても次に勝つために強くなる意志を見せ続ける覚悟を表明する。最高です。
 ついでに蛇足。個人的な予想というか期待になりますが、ここまで敗北のドラマを積み重ねてきたかな子のブレイクスルーポイントはどこかと考えれば、当然1話からライバルとしてあてがわれてきた彼女との試合なわけで。そしてそれは関東大会のクライマックスとして用意されているのではないか、と勝手に考えているわけですよ。
 
 そしてシングルス2。
 正直森久保の能力が判明した時点で卯月の無我の餌食になることは分かりきっていたし、消化試合だろうなーと思って今までとは一転やや醒めた目で見ていたら横っ面を張られました。黒帝戦これまでの試合を総括した上で、さらに描かれた価値観が上書きされていて、「なんじゃこりゃ」と大興奮。
 まず森久保。彼女は黒帝の中でただ一人パワーキャラではなく、異質な存在として描かれています。それは本人も自覚するところのようで、彼女にとって他の先輩達は憧れすら抱けない自分とは違う存在。圧倒的なパワーで君臨する黒帝学園の性質を内側から客観視するのが森久保というキャラクター。しかし拓海は逃げ続ける森久保に対して期待をかけ続け、おそらくは彼女なりのエールをかけ続けます。
 この、先輩後輩のラインが見えたことで初めてこの試合の対比構造が明確になります。今まで加蓮部長の優しい言葉と、早苗先生のアドバイスによってその胸に無我の閃光を宿してきた卯月ですが、この試合に至っては声をかけられることはありません。「言うまでもないよね」と加蓮が言うように、既に卯月は自分のテニスを信じているから、背中を押されずとも閃光を放つことができる。
 若干話が逸れますが、無我『千皇』によりずっと頑張り続けられる卯月を見て晶葉が「崩れかけた自信にいつも勇気をくれる」と言っているんですよね。晶葉はかつてわくわくさんにテニスを教わった経験から「人に自信を与える存在は何よりも尊い」と考えるようになり、それを目指してマネージャーになった人物です。そもそも、卯月はアイマス要素の薄い本作でも「閃光が続くように」輝き続けられる能力を持つ者としてアイドル要素を担っていると言えないこともない存在であり、他者を応援し自らの在り方を以って人の自信を支えられる彼女の立ち位置がこうして明示されたことはかなり重要なポイントだと思っています。何が言いたいかというとこの試合で晶葉の敗北も回収されているということです。
 話を戻して、卯月と森久保の試合を通じて両校部長の後輩へのスタンスが現れており、発破をかけ続ける拓海と無言を貫く加蓮の対比が、それぞれ期待と信頼という形で描かれています。そしてそれに応えるように、卯月は自分が勝てばきっと加蓮が勝ってくれると全幅の信頼を部長に寄せ、森久保は拓海が後ろに控えているから逃げずに戦えると安心を示します。その構図を俯瞰して見る都が「ルーキーが強い理由」としてまとめ、そしてそれぞれ信頼と安心に応える両部長へのバトンタッチをクライマックスに配置しシングルス1に繋ぐという完璧な構成。熱過ぎてこんなの泣くわ。

 しかしもう一つ素晴らしいのが、この作品で提示された「試合は自分との戦い」というテーゼがそれまでの黒帝戦全体を総括する機能を発揮している点。
 早苗先生の台詞ですが、何も唐突に出てきた言葉ではなくて、彼女はこれまでも何度か「弱い自分に負けるな」と口にしているんですよね。一貫してそういう考えを持ったキャラクターとして描かれています。
 対戦相手は容赦なく自分の弱点を突いてくる、弱い自分を映す鏡だと。その価値観に照らし合わせた時、「さようなら」を撤回して次を見据えたかな子は、逃げずに戦って悔しさを手にした森久保は、果たして本当に負けたのか?、と問えるわけです。
 勝負は「勝つか」「負けるか」しかない、でもその勝ち負けは試合そのものだけの話ではないと示された。この構成には脱帽するしかない。

 さらにとんでもないのが、このエピソードがまだ中途で加蓮と拓海による最終決戦を残しているという事実。正直なところ、今まではハリアーPファンの皆様がよく言う「テニプリンセス面白いけどそれよりロマサガ新作はよ」という意見には口には出さないものの心中密かに同意していたのだけれど、これだけ面白い漫画を見せられたらもうそんな事は言えません。ロマンティック・サガもテニプリンセスも早く続きが見たい読みたい!



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アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


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