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The Princess of Tennis

テニプリンセス 感想 Power of Smile

 あるいはもう一つの友情ヨーソロー。

 ついに始まった全国大会準々決勝。
 1試合目にして最初からクライマックスにも程がある超重要なエピソードが描かれたもんでして、それがこれもう記事1本書けるなというほどの密度だったので、ド本命と本命が一度に来た限定SSRガチャで爆死した悲しみを糧にいってみようと思います。
 まあ合計20試合書くとのことなので、最後にまとめてなんて土台無理な話。書けそうになったらまとめて書いてみる、という方針でよろしく。

 まず最初に描かれるのは青学と黒帝の再戦、ダブルス2で相まみえるのは卯月・かな子ペアとふじりな・森久保ペア。青学にとって黒帝は関東大会で敗北した因縁の相手であり、さらにかな子はふじりなに、森久保は卯月に負けているという、リベンジ戦に相応しいマッチアップ。
 試合中にも、『あの時のリベンジ』を感じる描写が盛り込まれていて、ラヴぽよ弾を躱すかな子、負けん気を見せる森久保はもちろんのこと、最もニクいのが決着の瞬間。関東大会のシングルス3ではかな子がふじりなのラヴぽよ弾を何とか返すも届かずネットに阻まれて敗北しましたが、今回は逆にふじりながかな子の方天戟をギリギリ返すもネットを越えられず終わるんですよね。どこまで狙ってやってるのかは分かりませんが、こういう要素があると無言で魅せる試合描写がグッと引き締まりますね。

 相変わらず試合を見守るギャラリーの描写で視点の豊かさとキャラクターの掘り下げを行うのも巧みで、森久保は期待を掛ける先輩たちの眼差しを描いているからこそ一歩ずつ前に進んでいく様が映えるし、きらりの描写を挟むことで紅葉の格を保ちつつ卯月とかな子が黒帝に対抗できるロジックが補強される。そして加蓮の視線がまた秀逸で、卯月とかな子の背中にかつての親友二人の姿を重ねるんですが、最後にはちゃんと凛と奈緒ではなく卯月とかな子の顔を正面から捉えているんですね。
 過去は過去、現在は現在。二人は決して代替ではないのだと示すコマ割りが見事です。

 さて、何と言っても今回の白眉はついに描かれた主人公二人がテニスをする理由。
 幼馴染二人に生まれた亀裂からの、互いに連動し合った理由が語られるシーケンスは最高としか言い様がありません。
 二人で始めたテニス、あの頃はただ楽しかった。けれど今は、チーム全員で全国を目指す、その過程において勝ち負けという競技の側面に否応無しに直面せざるを得なくなった。かな子がずっと背負わされてきた敗北のドラマ。それが彼女に勝負の重みを植え付け、勝利に至ってもその覚悟ゆえ笑顔を見せることはなかった。
 テニスとは楽しいものだと、そう信じて疑わなかった卯月とはいつの間にか乖離していた意識の違い。それは間違いなく青学テニス部で全国を目指さなければ生まれなかった断絶で、かな子をその道に引き込んだのは確かに卯月だ。自分のせいでかな子の笑顔を奪ってしまったと、そう思った時卯月の胸から無我の炎は消える。
 この断絶を越える流れがね、素晴らしいんですよ。某カリスマのアドバイスに従い、本音をぶつけ合う卯月とかな子。ここでかな子に「テニスが本当に好きかどうか分からない」と言わせる誠実さ。ただ、143話の回想で描かれたように、上手くテニスが出来なかったかな子に笑顔をもたらしたのはいつだって一緒にいた卯月の笑顔。それは今でも変わらないのだと、それだけは何があっても絶対に揺るがないのだと、自分を信じられなくなった卯月をも疑いなく信じられるのがかな子の強さ。
 ここで卯月は自分の中にある理由の正体に初めて形を見出す。かな子が「笑わなくなった」からこそ、自分のテニスでみんなを笑顔にしたいのだと気付く。
 これは翡翠ヶ丘戦で仲間も相手も笑顔に出来なかった卯月のリベンジ戦で、だからこそ彼女が最初にテニスを通じて笑顔にした人物であり、今誰よりも笑顔を見たいと願う幼馴染の笑顔を以ってそれが果たされる。卯月に掛けられた、聖ブラウニー戦シングルス3と同じかな子の台詞が、真逆の表情を伴って発せられる、反復と対比の妙。
 こんなの泣くに決まってんだろ!(n回目)

 いつも一緒で、誰よりも理解していると信じて疑わなかった幼馴染との間にいつの間にか出来てしまっていた深い断絶の壁。それでも原初にある思い出が消えない限りは、そこで再び想いをひとつに出来る。
 友情ヨーソローだ。
 卯月の原体験は間違いなく早苗さんと志乃さんなのだけど、誰かを笑顔にしたいという衝動をもたらしたのは幼馴染の存在である。今年に入ってこういう構図を連続で見せられたので、幼馴染のエモさに気付かされた感があります。美しい。

 並行して描かれるのはスポーツの素晴らしさ。
 自分も仲間も、相手すらも信じているからこそ勝ち負けを越えて人は強くなれる。
 本作の群像劇としての強度を保証するこの思想は、それこそ言葉の上だけなら何度も繰り返し描かれていること。のあさんが主に語っているのはもちろんのこと、関東大会決勝で志乃さんがユッコに語りかけた「疑わないこと」も「信じること」の言い換えで、同時にそれが難しいからこそ価値のある世界であるのだと。
 疑いなく信じること、これは本作に留まらずハリアーP作品に通底する価値観であり、ネタバレになるのでちょいとボカして言うけどニコニコ動画に投稿されているIm@s架空戦記シリーズ「Romantic Sa.Ga」でも、まさにそれそのものが「強さ」として描かれていますね。
 当たり前のこと、後ろ向きなことを言うのは誰にだって出来る。信じ続けることが難しいものこそ信じ抜く、それを体現するのがアイドルという存在なのだという、一貫したテーゼ。
 本作はテニスという題材を取っているけれど、間違いなく競技に打ち込む様を通じてアイドル像の再構成を行っているし、だからこそ本作はどうしようもなく「アイドルマスターの二次創作」なのだな、と。今更になってそう確信した次第であります。

 嵐の準々決勝もまだ始まったばかり。この作品は一体どこまで行ってしまうのか、いずれにせよ、私の予想など軽く越えてしまうことだけは確かでしょう。

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Comment

No title

相変わらずの感想おもしろいです
しかし、この構成だと各校の大将戦連発になりますよね多分
ちょっと楽しみ過ぎる

Re: No title

>名無しさん

コメント&お褒めの言葉ありがとうございます。
ホント一体あと何回クライマックスがやってくるんでしょうね。
こっちの身が持たないまであります。
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アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


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