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映画

リズと青い鳥 感想

 山田尚子監督×ユーフォシリーズ=ヤバい(確信)


 殺風景な廊下、響く足音、さながら監獄のような閉鎖空間である学校を舞台に、ふたりの少女が逃げ場のない踊り場で不揃いなステップを踏む。
 あまりにも秀逸なOPシーケンス。歩幅もリズムも、何もかもが違う希美の足跡を辿るように数歩遅れて歩くみぞれ。映像と音楽が醸し出す軽快な不協和音だけで、ふたりの関係性や距離感を完璧に表現できたのは、『聲の形』を経た山田尚子監督と牛尾憲輔氏のチームワークあっての妙技と言えるでしょう。
 主役ふたりはどちらもほとんど思っている事を口にしない。だからこそ、その表情に、仕草に、鳴らす音に、目を凝らし耳を澄ます。繊細な足の芝居は監督の十八番だけど、今回はアニメーションとしては異様なくらいに、水槽の中をもがくように泳ぐ希美の目が最高に気持ち悪く印象的だった。
 
 優子と夏紀先輩のように言いたいことを言い合えたら、あるいは久美子と麗奈のようにお互いの絆を信じ合えたら。けれどあのふたりは不器用で、ちぐはぐで、臆病で。
 依存のベクトルが違う共依存が産んだ歪な関係性は、徐々に綻ぶ。
 羽ばたく鳥のイメージは、かつて常盤みどりがもち蔵に見たものであり、あるいは西宮結弦が姉と将也を重ねたものでもある。希美は自らの意志でみぞれを見送ったのか、それはみぞれが希美から確かに受け取ったものなのか、あるいは童話に託すしかなかったのか。ともあれ、檻の鍵は開けられ、鳥は遠き空へ羽ばたいた。

 ふたりの歩幅も、リズムも違う。きっと互いに向ける想いの種類も、重さも違う。
 だけど、一段飛ばしで上がった階段の先で希美がみぞれを待っていたように、あるいは希美が付いていけるようにみぞれが自分を抑えてオーボエを吹いたように、歩幅を緩めて合わせることはできるのだ。
 少しの立ち位置によって高低差が変わる階段というモチーフが、細かな距離の断層を描いてく作劇の要のひとつであり、唯一平面で交われる踊り場で、少女たちはただ一時足並みを揃えられる。それが出来ることを確認する物語でもあった。girls,dance,staircase.
 
 最初と最後、明確に対比されるのは登下校。
 みぞれと希美が一緒に登校できたのは、同じものを目指して同じ道を歩いていたからだ。
 しかし進路が分かたれたことで、互いは互いに別に道を征く。
 それでも、一緒に下校することはできる。そしてそれぞれの家へ帰っていくのだ。
 ゆるやかに繋がって、ゆるやかに断たれていく。逃げ場のない日常はかくも息苦しく、愛おしい。

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