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アイドルマスターシャイニーカラーズ 『Star n dew by me』 感想

「わたしはその手に触れるから」



 アイドル文脈として傑作だったのでネタバレ感想をば。番組企画でとある学校の学園祭に呼ばれたイルミネーションスターズ。鬼ごっこを模したゲームで、囚われた八宮めぐるは『オニ』となってしまう。
『チエルアルコは流星の』コミュではぐれものに思いを馳せる姿が描かれた彼女が、イルミネから引き離される=群れから孤立した魚と同じ状況に陥ることで、そこから脱するためにめぐるがどう立ち回ってきたか、その方法論が示唆される。置かれた状況を拒まない、自らの役割を選ばない。前述のコミュで配役を選べなかった彼女は(大人しい少女ではなく元気な友人の役を振られた)、真乃と灯織の仲間ではなく敵役として、あるいは期待された以上にその役割を全うする。自分の居場所は自分で作る。
 きっと今までも、そんな小さな戦いを繰り返し、積み上げて、今の八宮めぐるがあるのだ。
 めぐるのことを良く理解している灯織は、仲間のために自分を犠牲にする損な性格も、番組のために出来ることを全力でやろうとする姿勢も、受け止めた上で尊重する。そして真乃は、きっと他の二人よりもずっと我が強くて、だから迷わずに形式上の番組コンセプトよりもめぐるを掬い上げる方を選択する。
 二人の存在が、孤独に戦うめぐるを再び『アイドル』にする。めぐるという『オニ』のために奪われた光。だけど彼女は、彼女たちは『アイドル』だから、誰に阿らなくても、自分たちの輝きで暗闇を照らし出すことができる。
 全速力でステージに向かうめぐるは、真乃と灯織を置き去りにして駆ける。けれど今度は、逸れたわけではない。彼女たちは心の中でそばにいて、横並びから突出する個性があったとしても、必ず同じ場所へ追いついてくる。そういう確信がある。
 ステージの上でめぐるは観衆に語りかける。楽しいときも、悲しいときも、人の手が必要になった時に、手を伸ばして。わたしがその手に触れるから、と。
『普通』の人々の学園生活を盛り上げるために、『特別』なアイドルたちがその感情の変遷すらも見世物にして走り回る。それは人並みの青春を犠牲にする偶像のあからなさまな直喩であり、だからこそ、たかだか番組の企画で振り回されるめぐるの苦悩は真に迫っている。でも、表舞台の裏では当たり前に迷い悩む等身大の少女だからこそ、輪から少し逸れた魚たちにも目を向けることができる。別け隔てなく手を伸ばして、心の拠り所になることができる。太陽のように雲を晴らし、月のように闇を照らす、時に強く、時に優しく、そばにいてくれる光になれる。
 そして偶像である彼女たちもまた、互いに互いを照らし出すことができる。『普通』からあぶれてしまった『オニ』に捕まって、真乃と灯織もまた『オニ』となった。彼女たちは『アイドル』で、『オニ』だけど、もう決して孤独ではないのだ。

 今回の話は、言ってしまえば物語の中心にいためぐるにとってさえ、『特別』なものではない。彼女はおそらく、これまでもずっとこういった事を乗り越えてきたからだ。でも、だからこそ、流れる日々の中でちょっとしんどくなった時、あるいは些細な喜びを得た時、誰にでもある何でもないひと時に寄り添う存在として、イルミネーションスターズは普遍性を持った『アイドル』であることが表明されたのだ。彼女たちに捧げられる感謝が、『普通』の枠には収まらなかったように、大きな輝きを残して、また次のステージへと飛び立っていく。そしてきっと、また『特別』な何かを得るのだろう。
 あまりにも眩しい、光の物語。最高傑作まである。

※追記

 めぐるの『個性』についての扱いもまた神経が行き届いており、オニに捕まった彼女を探してほしいと生徒たちに呼びかける真乃が特徴として『二つ結びの』って髪型の事を言うんだけど、どう考えてもそれじゃ分からないしもっと分かりやすい『金髪碧眼』っていう特徴があるわけじゃないですか。それを真乃が言わないのは、多分何も考えてないけど無意識にどうにもならない身体的特等で差別を受けてきたであろう表現を避けたんだと思うんだよね。
 真乃にとって、めぐるは『特別』じゃない『特別』な存在なんですよ。
 あとPとのやり取りに言及するのも忘れたけど、めぐるのプロデュースしてるとPと彼女の間には明確に大人と子供の信頼関係があるように感じられるんですよね。だから、おそらくは誰にも漏らしたことのない弱音をPにだけは吐く。
 その上で、アメリカ出身の金髪美少女ががんもどきを美味いって勧めるのを茶化すでもなく普通に受け入れるんですよね。見守り、支え、ありのままの彼女を肯定する。これがシャニマスのプロデューサーですよ、分かりますか?

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