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話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選

 今年もできそうだったので書きました。


 企画元で集計もやってくださっていた新米小僧の見習日記さんが今年限りで離れられるそうで、来年以降どうなるか分かりませんが、恒例行事感があって良かったので、10本選べるうちは個人的に続けようと思っています。
 ともあれ、今までお疲れさまでした。貴重な機会を設けていただいてありがとうございます。

ルール
・2019年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
・1作品につき上限1話。
・順位は付けない。


モブサイコ100 II 007 『追い込み ~正体~』
脚本・絵コンテ:立川譲 演出:飛田剛 作画監督:亀田祥倫

 迷える子供を導く頼れる大人、だったはずの霊幻新隆が、モブの自立をきっかけにその空虚さを容赦なく晒されていく回。
 「虚」と「実」は表裏一体で、霊幻の怪しげな霊感商法は確かな実を以って人々の不安を解消してきたし、逆に世間の悪意が作り上げたポスト・トゥルースとしての霊幻像は図らずも本人のコンプレックスを的確に突いてしまう。自分の「正体」というものは他人の目を介して形づくられていくもので、『何者』にもなれなかった詐欺師としての烙印は、たしかに霊幻自身の自己認識として真実味を帯びてしまうのだ。
 社会に対するちっぽけな個人。そこからの救いは、やはり「個」と「個」の関係性の中にある。モブとの出会い、霊幻が適当にあしらうために連ねた言葉は、しかし彼にとっては何よりも嬉しくて、必要なものだった。
 虚の中から真が生まれる。モブにとっての霊幻は、出会った時からずっと『いい奴』に他ならず、それは出会った日から彼がずっと目指してきたものなのだ。霊幻がモブの『特別』に憧れたように、モブもまた霊幻の『普通』に憧れた。そしてそれは、共に同じ『いい奴』を指し示すのである。
 自分が『何者』かを規定する他者の存在。今年特に意識した構図のひとつで、その切っ掛けとなったエピソードでした。


賭ケグルイ×× 第八話 『負けない女』
脚本:金田一明 絵コンテ・演出:いがりたかし 
作画監督:仁井学、石田千夏 総作画監督:高原修司

 サブタイトル演出で勝ってる枠。それ言ったら『さらざんまい』はほぼ全話そうなんだけど。
 ギャンブルに人生を賭ける。2期になって主人公・夢子がトリックスターに徹し、サブキャタクターたちの青春群像劇の様相を呈しはじめた本シリーズからは、皇伊月がメインを張るエピソードを選出。
 公共財ゲーム、外馬、そして豆生田楓の再起。ひとり二重三重のギャンブルを行っていた彼女。その真意は、自分が選んだ男の価値を測る、というものであり、必勝にして必敗のゼロサムゲームだった。しかし、ひとりの男を信じ抜くことを選んだ彼女は、ゲームを降りながら勝利宣言をする。
 自分のすべてをベットした、その堂々とした姿の後に提示される『負けない女』というサブタイトル。シビレました。
 

約束のネバーランド EPISODE.12 『150146』
脚本:大野敏哉 絵コンテ:神戸守 演出:神戸守、北井嘉樹
作画監督:こまもとあいこ、関口亮輔、牛尾優衣、伊藤香織、末田晃大、福永智子、
小川茜、小松麻美

 束縛から解放へ。支配から庇護へ。
 揺り籠から墓場まで、母親の庇護下で過ごすだけの、決して大人になれない暗黒ネバーランド・第3プラントからの大脱出を成功させたエマたち。そんな子どもたちを見送るママ・イザベラの醸し出す情緒が素晴らしかった。
 胎内からへその緒を伝って出ていくイメージを反映させた脱出シークエンスは、巣立つ子どもたちの親離れを視覚的に印象づけるアクションだし、それを見送るイザベラがまるで洗濯物を取り込むかのように後始末をする仕草が、置き去りにされた少女性の解放からなる子離れをも演出していて、非常にエモーショナルだった。
 幼児たちに柔らかく微笑む姿は、真の母性の目覚めとでも言うべき絵画的美しさを秘めており、総じてイザベラという存在の持つ叙情性に魅せられたエピソード。


戦姫絶唱シンフォギアXV EPISODE 7 『もつれた糸を断ち切って』
脚本:永井真吾、金子彰史 絵コンテ:三塩天平 
作画監督:藤本さとる、坂本俊太、ハニュー、福田佳太、稲熊一晃、宗圓祐輔
総作画監督:藤本さとる アクションディレクター:髙嶋宏之、光田史亮

 まさかここまでの長期シリーズになるとは思っても見なかったシンフォギア。
 続編が出るにつれて、「面白い!」よりも「なんだかなぁ……」と思うことが増え、段々熱も醒めていった本シリーズの完結編において、久しぶりに問答無用でぶち上がれるパワーを感じられたのが、このエピソードです。
 エルフナインの奮起、オートスコアラーの献身、そしてキャロル・マールス・ディーンハイムの帰還。かつての廃棄躯体は城の主として生を足掻き、想い出を焼却して戦う人形が想い出を手繰り寄せる。呪いを祝いへと変えていく、GXで描かれた物語構造にして、シリーズ全体のテーマにも通ずるシークエンスを、短い間に繰り返しても嫌味がないのは、まさにエルフナインが出自から今に至るまでそういう物語を積んできた存在だからであり、境遇を呪って奇跡に縋るノーブルレッドが好対照の立ち位置でそれを引き立てる。
 そしてか細い糸を手繰り寄せたその果てに、かつて主人公たちの力を奪ってきた『奇跡の殺戮者』が、今度は主人公たちの足掻きを肯定するかのように立ち位置を逆転させて舞い戻ってくる。素晴らしい構造の美。
 3期の終わりからフラグを建てられ、散々っぱら引っ張ってきたキャロルの復活。意外性も何もない、予定調和でしかないそれを、『奇跡』を否定する『必然』として描くことで、『戦姫絶唱シンフォギアGX』自体をひとつのエピソードとして蘇らせる。長期シリーズだからこそできる芸当を、完璧にキメられてしまったので、シャッポを脱ぐしかありませんでした。お見事。


荒ぶる季節の乙女どもよ。 第10話 『穴』

脚本:岡田麿里 絵コンテ:熊膳貴志、安藤真裕 演出:熊膳貴志
作画監督:大庭小枝、佐古宗一郎

 セックスへの忌避感と好奇心を膨らませつつ、恋を知っていく文芸部の面々が、ままならない恋愛感情と生理現象のアンビバレンツによって、傷付き、胸に小さくない穴を空けていくエピソード。男たちの性的目線に晒されてきた身体を使っても好きになった少年を振り向かせられず惨めに街をさまよう菅原氏。嫌いだからかそうじゃないのか、野郎からの身体的接触に身体が拒否反応を示してしまい自身のセクシャリティに惑う百々子。自身の性的魅力・性的経験の無さにコンプレックスがあり、恋が叶わなくても存在を刻みつけたいと暴走する本郷先輩。身体と心を持て余し、空回る痛ましい姿を容赦なく晒していく赤い月。
 処女拗らせ勢だけでなく、健全男子代表の泉もまた、自分が好きなはずの彼女ではなく、別の女の子で勃ってしまう自分自身に戸惑い、自己嫌悪する姿が描かれる。
 未熟な少年少女たちが、思春期の迷走をしていく中で、逸脱行為を許さず排斥する社会の歪を示す所まで含め、シリーズで一番見応えのあった話数でした。


さらざんまい 第九皿 『つながりたいけど、伝わらない』
脚本:幾原邦彦、内海照子 絵コンテ・演出:武内宣之
作画監督:高野やよい、石川佳代子、川妻智美、石川奨士、小園菜穂、
Moaang、松嶌舞夢、たけうちのぶゆき

 この世界は悪いやつが生き残る。
 両親を失い、家を奪われかけ、弟のような才気もない、久慈誓という男が縋るしかなかった生存戦略。血で血を洗い、金を掠め取り、どん底を這い回る悪徳の帰結を、フィルム・ノワールの如き筆致で描いたエピソード。
 露悪的に振る舞っても、時に憎々しく感じられても、それでも塗りつぶせなかった、ただひとつのつながりを胸に秘めながら、血に濡れた万札を押し付けることしかできない見当違いで、それでも否定のできない弟への愛。カヴァレリア・ルスティカーナに乗せて紡がれる走馬灯は、よくあるお涙頂戴演出とは一線を画し、何でも上手くやる『特別な』弟にコンプレックスを刺激され続けてきた彼の人生の軌跡であり、徐々に道を踏み外していきながら、それでも確かに笑顔があった久慈兄弟の愛憎入り混じったつながりを克明に刻みつける。
 慟哭と共に、悪の縁が紡いだ金は弧を描いてばら撒かれ、どこへも行けない船にはただ想いの残滓だけが風に舞わずに残される。
 観ていてひたすらに圧倒されるしかない、凄まじいエピソードでした。


Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア- Episode 0 『Initium Iter』
脚本:武井風太 絵コンテ:高雄統子 演出:原田孝宏、高雄統子 作画監督:岩崎将大

 AT-Xで放送されてたらしいので、レギュレーション的にもギリセーフっしょ。
 バビロニア、というよりは、FGO自体のエピソード0。
 殺風景な無菌室で育てられたデザインベビー、マシュ・キリエライト。世界を知らず、人間を知らず、実験体としてどんな苦痛を受けても、無垢であり続けた少女。
 ロマニ・アーキマン、そしてレフ・ライノール。この二人がマシュの教育係であるようで、実は鏡像でもある、という前提を知っているからこそ、感じ入るものがある。
 ドクター・ロマンが人間性の素地を育み、レフ教授の陰謀が醜い歴史と美しい世界を知る機会を与えた。そして『先輩』との出会いが、マシュ・キリエライトという『個』を導いていったという事を、プレイヤーは知っている。主題歌に乗って描かれる旅路の軌跡が、確かにそれを物語る。
 『無垢』から『色彩』へ。ダイジェストながらも、その旅路が意味する所を的確かつ鮮烈に切り取った見事な演出と構成でした。
 

ヴィンランド・サガ #14 『暁光』
脚本:猪原健太、瀬古浩司 絵コンテ・演出:小林敦
作画監督:山本無以、吉岡毅、佐藤誠之、村田睦明、辻村幸輝、
井上修一、松本幸子、網修次郎、栗原基彦

 善良で、素朴で、どこにでもいる村人の、感情豊かな表情。一面雪景色の中、冬の厳しい寒さに苛まれ、あかぎれし、節くれだった指先。異様なほど丹念に描き込まれた人物作画は、この世界、この時代に生きる人々の、信心と背徳の有り様に確かなリアリティをもたらす。
 毎日のように祈りを捧げ、善なる者であるように努め、貧しくとも家族で寄り添いながら生きるキリスト教徒たち。審判の日が来ても、天国へ召されるように。救済という希望が未来にあればこそ、人は敬虔でいられるというのは、ある種の本質だろう。
 しかし、現実は容赦なく、どれだけ忍耐強く大自然の脅威に備えようとも、理不尽な暴力は突然にやってくる。神をも恐れず、日常のように悪行をこなすヴァイキングたち。略奪、そして虐殺。彼らの信心はある日突然裏切られた。
 その一部始終を木陰から覗いていたのは、ただひとり生き残った少女・アン。ほんの細やかな背徳に胸を躍らせる彼女は、残酷なまでに美しい世界に対し、人があまりにも矮小な人間であることに気付かされる。超自然的な神の視点、その途方も無さをワンカットで表現してしまう背景美術の素晴らしさは、間違いなく今年度で一番でした。
 
 
バビロン 第2話 『標的』
脚本:坂本美南香 絵コンテ・演出:富井ななせ 作画監督・久保光寿
総作画監督:後藤圭佑

 新域域長選を巡る陰謀を追う内に、たどり着いた一本の手がかり。
 取調室で行われる、謎の女の聴取に、正崎検事が挑む。
 とにかく演出が凄まじく、女の言動、仕草、画面構成、撮影処理、調書作成画面に至るまで、あらゆる手法を総動員して、蠱惑的でとらえどころのない、『最悪の女』に翻弄される正崎の視点を疑似体験させられる。
 詭弁を弄して世の常識、モラル、正義を揺さぶろうとする様が真に迫っており、既存の価値観を犯していく本作の『悪』が存分に発揮されていた。
 
 
BEASTARS 第12話 『夏嵐の後ろ姿』
脚本:樋口七海 絵コンテ:荒川眞嗣 演出:松見真一 
作画監督:宮崎瞳 CGディレクター:清宮慎吾

 肉食/草食という明確なファクターを付与することで、現代社会における様々なレイヤーの差別断絶ヒエラルキーを浮き彫りにする青春群像劇である本作。
 肉食のハイイロオオカミでありながら草食男子的な童貞ムーヴの主人公レゴシが、己のケダモノとしての本能に向き合い、受け入れながらも、それを想いによって乗り越えようとした青い夜。捕食者/非捕食者の関係、尊敬する先輩との対立、眠る醜い本性。あらゆる壁にぶつかってきた彼の姿をスポットライトが照らす時、複雑怪奇な青春の懊悩は置いていかれ、美辞麗句で飾られたプロパガンダに昇華される。
 強き者が弱き者を守る。ヒーローと美女のカップル。舞台で演出されるのは小綺麗にパッケージングされた都合の良い物語で、そこに社会の闇は反映されない。
 エレベーターを上がるほどに纏わなければならない虚飾と、自身の中で燻る怒りや情熱との乖離に耐えきれず、ルイ先輩は表舞台を去った。
 レゴシもまた、引っ張り上げられた壇上を降り、祭りの喧騒から離れ、街灯に照らされる階段で小さなウサギを追いかける。彼は舞台役者ではなく、照明係だから、光を当てるものを自分で選ぶことができる。多くの人々が目を逸らし、あるいはニヒリズムに酔い、しかし確かに存在している混沌に、彼は迷い悩みながらも向き合ってきた。だからこそ、まだ社会には許されない異端のカップルであるために、彼は街の明かりを望む丘で、強くなることを愛するウサギに約束する。
 最終回にしてようやく舞台設定とテーマ性の意味に得心がいき、グッと見晴らしが良くなったような感覚で、とても良い気分になれました。


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アニバタ Vol.6アニバタ Vol.9に寄稿しました。よろしくです。


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